たろうです。私は、投資に関してブログ、Youtube、書籍で勉強中です。
今日は下記の書籍について、レビューをしていきます。
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 足立武志
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版
- 作者:足立 武志
- 発売日: 2019/01/24
- メディア: Kindle版
はじめに
前回は同じシリーズの「チャート分析の教科書」のレビューをさせていただきました。
投資の手順に銘柄を「選ぶ→買う→売る」をありますが、前回は売買タイミングについて学びました。
今回は「銘柄選び」についてファンダメンタルで学んでいきます。
東洋経済新報社から会社四季報という日本企業図鑑が、毎年4回発行されており、日本企業の業績がチェックできます。実際に買うと、広辞苑くらいの厚さがあってかさばってしまいますが、ネット証券のSBI証券、楽天証券の口座を開設すると、直近の四季報を無料で見ることができます。
さらに深く分析したい人は、四季報オンラインで過去の四季報を参照したり、スクリーニングに用いることができます(有料)。https://str.toyokeizai.net/-/sol/personal/
では、会社四季報や決算短信に関連する部分をピックアップして、私の意見を含め振り返っていきます。
成長株
グロース株・成長株というのは、毎年利益が増えている銘柄のことを表しています。
四季報にて過去3年間の決算、先2年間の予想が参照できるので、直近3年間成長していれば成長株と判断します。成長性の指標として売上高、営業利益、経常利益、純利益(EPS)などがあり、これらが毎年10-20%以上増えているものを成長株と判断します。
収益性 営業利益率
売上高営業利益率、経常利益率が10-20%以上の企業は収益性が高いと判断できます。
業種によって利益率の相場は異なり、コンサル業や人材派遣業やソフトウェア版売は営業利益率が高く、小売業などは低くなります。
収益性 財務と資本利益率
貸借対照表にて自己資本比率=純資産/総資産であらわされ、経営の安全性の指標になります。
つまり、借金が少なくて、自分のお金がどれくらいかの指標で、自己資本比率は40%以上が安全、80%以上が優良の指標とされています。
その資本を利用して、どれだけ利益を上げたかの指標がROEとROAです。
・ROE(自己資本利益率)=当期純利益/自己資本 ×100
ROEは自己資本比率が小さい企業はROEが大きくなりがち。自己資本比率が50%以上でROEが10-15%以上の銘柄は収益性が大きいと判断します。
・ROA(総資産利益率)=当期純利益/総資産×100
ROAは、自己資本比率の低い企業の収益率の評価に使います。
キャッシュフロー
・営業キャッシュフローは、損益計算書における営業利益に相当するもの。
・投資キャッシュフローは、設備投資や株式取得にいくら投資したかの指標。これがマイナスであれば、事業拡大を図っているサイン。
・財務キャッシュフローは借金、配当、自己株式取得、売却などの損益。
・現金等 上記3つのキャッシュフローの結果、残った現金等。
株主
筆頭株主が社長の会社は、自分が筆頭株主のため株主の意見に左右されず、経営方針を決定でき、株価の上昇や配当金が直接経営者の資産や配当収入に直結するので、自分を含めた株主を意識した経営方針をとってくれることが期待でき成長株の指標となります。
四季報で大株主と役員の一覧が見れるので、筆頭株主が社長の会社を銘柄選びに用いるのも手です。
割安株
バリュー株 割安株は業績の割に安い銘柄のことを指します。
割安の指標としてPER、PBR、配当利回りなどがあります。
PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)
・PER=株価/1株当たり当期純利益(EPS)
・EPS(Earning Per Share一株当たり当期純利益)=当期純利益/発行株式数
PERは、株価が1000円の企業のEPSが100円の場合、企業活動を10年間行うと株価と同様の利益が出るという、将来の利益を織り込んだ指標です。
割安株の基準はPER<20とされていますが、毎年50%成長している企業であれば、今年PER50でも、同じ株価なら2年後のEPS(1.5^2=2.25)で換算するとPER22程度になります。
個人投資家が四半期決算や四季報で業績を知る前に、機関投資家が調査した将来の業績が株価に織り込まれています。よって、株価は企業の業績を半年先取りしているといわれており、グロース株では高PER(>20)だからと言って割高とは限りません。
PBR (Price Book value Ratio:株価純資産倍率)
・PBR=株価/1株当たり純資産
PBRは企業の純資産と時価総額の比を表し、現在の純資産を織り込んだ指標です。
1以下が割安株の基準とされています。
PERとPBRは前述のROEを用いて以下の関係で表されます。
PER×ROE=PBR・・・収益性が高い(高ROE)にもかかわらず、不人気で低PERのために低PBRの銘柄は割安と判断できます。
配当利回り
・配当利回り(%)=1株当たり配当/株価 ×100
配当利回りは1年間で配当によるリターンが何%になるかの指標です。
配当利回りは増配が上がる場合、株価の下落による配当利回りが上がる場合があります。高配当株は株価下落した際に配当利回りが上がるので、株価下落の抵抗になります。私も、配当利回りを下回るまでは、含み損に目をつむるときがあります。
しかし配当利回りが10%でも毎年10%ずつ株価が下落していては、トータルリターンは増えません。
・配当性向(%)=1株当たり配当/一株当たり当期純利益 ×100
配当性向は企業の利益のうち、配当支払いの占める割合を示します。これが90%だと利益はほとんど配当支払いに充てられているということです。
1株当たり純利益(EPS)が低下しているのに、高配当を維持している会社は年々配当性向が増え、株主への配当金支払いが経営を圧迫する可能性があります。
高配当投資のニュースとしては、高配当株として人気だったJT日本たばこ産業が2021年2月9日に上場来初の減配を発表しました。
JTはここ数年の禁煙、分煙の流れで利益が低下中も、増配を続けており、2020年12月期の配当性向は88%でした。来期予想は、EPS135円、配当130円、配当性向96%、とさらに配当性向が上がっています。
2021/2/10時点での株価1990円で減配後の配当利回りはまだ6.5%もありますが、予想配当性向97%を考えると、主力のタバコ事業に大きな転換がないと、今後さらに減配リスクがあると考えられます。
<東証>JTが10%安 減配計画「今後の収益の厳しさ示す」: 日本経済新聞
日本たばこ産業の利益と配当の推移
EPS(円) | 配当金(円) | 配当性向 | 期末配当利回り | |
2017年12月期(実績) | 219 | 140 | 64% | 3.9% |
2018年12月期(実績) | 215 | 150 | 70% | 5.4% |
2019年12月期(実績) | 196 | 154 | 79% | 6.4% |
2020年12月期(実績) | 175 | 154 | 88% | 7.3% |
2021年12月期(予想) | 135 | 130 | 96% |
まとめ
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
ファンダメンタルズ投資の教科書の名の通り、四季報や決算短信の読み方が書かれています。ファンダメンタルと謳っていますが、最後に買い時・売り時などテクニカルの部分も触れられており、1冊で「選ぶ→買う→売る」が学べます。こちらに書いた指標は基本的なことで、ほかにも詳しい分析について学べますので是非、投資初心者の方は読んでみてください。
証券会社の銘柄スクリーニングで、今回の指標を使って銘柄選びに生かしていきたいですね。
次は医療と投資に関連する「行動経済学」についての記事を書こうと思います。
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