はじめに 毎月5万円を30年で小金持ち山へ!?
毎月5万円支出を見直して、それを優良なインデックスファンドに投資する。
すると投資元本は1800万円、ちょうどNISAの投資可能上限。
期待リターン7%とすると、30年後には資産は6000万円を超え、5000万円以上の小金持ち山に登頂!
おめでとうございます!
これは自身を学長と名乗るYouTuberがよく言っていることです。
でもこれはかなり強引なシミュレーションだとお分かりでしょうか?
今回は
・5000万円を貯めるには本当は何年かかりそうか
・「再現性高く」30年で5000万円作るには毎月何万円必要か
・株式現金半分ずつの場合は?
・インフレを考慮した場合は?
このあたりを考えてみたいと思います。
リスクを全無視しないで
投資積み立てシミュレーションでは、初期投資額、毎月積立額、投資リターン、運用期間を入力するところが多いと思います。
そうすると先ほどのような綺麗な右肩上がりのカーブが1本ドン、と出て終わりです。
ところが実際には日々の値動きがあり、株価は時に大きく上げ下げします。
これをリスクとかボラティリティと呼ぶのですが、投資する上ではリターンと同じくらい重要な要素です。
先ほどのシミュレーションに「リスク20%」を加えるとこうなります。

リスク20%は外国株式のリスクの値とほぼ同じです。
初期投資0、毎月投資5万円、投資リターン7%、リスク20%、運用期間30年でのシミュレーション結果
野村アセットマネジメントHPより作成
この場合の期待リターン7%は、成績上位30%のリターンとほぼ同じになります。
疑問1 毎月5万円を30年間積み立てたら本当はいくらになりそうか
最初の疑問、「毎月5万円を30年間積み立てたら本当はいくらになりそうか」については、上のグラフを見ると2.14倍の3848万円になりそう、とわかります。
これは年率2.56%に相当します。
疑問2 5000万円を貯めるには本当は何年かかりそうか
シミュレーション期間を伸ばすと、36年で資産は5000万円を超えそうだとわかりました。
初期投資0、毎月投資5万円、投資リターン7%、リスク20%、運用期間36年でのシミュレーション結果
投資期間後半になると、1年で大きく変わることが読み取れます。
投資金額が1800万円を超えるとNISAをはみ出してしまいますが、税金は考慮していません。
現実にはiDeCoや確定拠出型年金で代用できると思います。
疑問3 「再現性高く」30年で5000万円作るには毎月何万円必要か
今度は30年を固定して、入金額を変えます。
そうすると毎月6.6万円の入金で、30年後に5000万円(5069万円)に到達しました。
リスク0の場合、毎月4.1万円の入金で5000万円に到達するので、追加で2.5万円必要だということになります。
株式現金半分ずつなら
これまでのシミュレーションは、毎月5万円の貯金を全部米国株や全世界株に注ぎ込んだ計算です。
現実にはそんなことできませんから、ある程度は投資しないお金が必要になります。
ここでは毎月5万円のうち、半分の2.5万円を投資したと仮定します。

これでも一般的な家庭ではかなり攻めている方だと思います。
そうすると資産全体のリスクリターンは半分になるので、「年率期待リターン3.5%、リスク10%」に変わります。
こうなると
・5000万円を貯めるには43年かかる
(シミュレーションサイトでは40年までしか入力できない)
・30年後に5000万円貯めるには毎月9.2万円必要
となりました。とても「誰でも再現性高く小金持ちになれる」とは言えません。
インフレを考慮すると
これまでのシミュレーションではインフレを考慮していませんでした。
仮に適度なインフレ2%が続いたとすると、インフレ考慮後の期待リターンは5%になります。
最初の株式全ツッパの場合は、
・5000万円を貯めるには44年かかる
・30年後に5000万円貯めるには毎月9.2万円必要
株式現金半分ずつなら、資産全体だと「年率期待リターン2.5%、リスク10%」
(現金はインフレ調整後リターン0と仮定)
・5000万円を貯めるには50年以上かかる
・30年後に5000万円貯めるには毎月10.8万円必要
という、希望が見えない結果となってしまいました。
資産形成は簡単じゃないが
インフレを考慮して、株式に資産の半分を投じて、毎月5万円収支を黒字に持っていって、30年継続しても元本1800万円に資産2326万円。アッパーマス層(3000万円)に到達できませんでした。
毎月10万円積み立てないと「30年後に小金持ち山」は難しそうです。
それでも老後資金には毎月5万円で十分だと思います。
どこを目指すかは皆さん次第。私はFIREを目指します。
まとめ
・リスクやインフレを考慮していない、全額投資には回せない点が抜けている
・それらを考慮すると、30年後は1800万円が2326万円に
・小金持ち山は難しいが、老後資金には十分
今回は過去記事↓と似た内容になっています。よろしければこちらもどうぞ

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