SBI サクッと全世界債券を解説 最安債券ファンド誕生

はじめに 全世界対象の債券ファンドが誕生

 

2024年2月10日、新たな債券ファンドが誕生しました。その名も、

SBI・iシェアーズ・全世界債券インデックス・ファンド
愛称:サクっと全世界債券

です。

正確には、元々あった「EXE-i 先進国債券ファンド」を、信託報酬の引き下げ、投資対象の変更という形で名称も変更になりました。

 

世界の債券に投資するというコンセプトで、債券好きな投資家から注目を集めています。

今回はこの「サクっと全世界債券」について、他の債券ファンドと比較しながら解説します。

 

 

サクっと全世界債券について

投資対象

交付目論見書を確認します。

 

https://www.sbiam.co.jp/fund/pdf/89314135_sensai_koufu_20240210.pdf

 

投資対象は非常にシンプルで、

iShares Core U.S. Aggregate Bond ETF 60%
iShares Core International Aggregate Bond ETF 40%

に投資すると書いてあります。

 

 

シンプルですが、そんな長いETFなんて知らないよ、という方がほとんどでしょう。

ティッカーに直すと、それぞれAGG, IAGGというETFです。

このうちAGGについては、聞いたことある方も多いのではないでしょうか。

世界で最も有名な債券ファンドの1つです。

 

一方のIAGGは馴染みがないと思います。

楽天証券やSBI証券では取り扱いがありません。

ですがこれもAGGにInternationalが付いただけで、要は米国を除く国際債券ということです。

 

まとめると、サクっと全世界債券AGGに60%IAGGに40%に投資するファンドです。

(3ヶ月ごとにリバランス)

 

 

信託報酬

ファンドが徴収する報酬が年0.0638%、AGGとIAGGの保有コストが0.046%で、合わせて年0.1098%程度です。

 

 

ここに隠れコストが加わりますが、まだ決算が出ていないため不明です。

 

債券の投資信託の中では、業界最安と言えるコストです。

低コストの代表的な存在である、eMAXIS Slim シリーズ(先進国債券)は、

信託報酬 0.149%程度、2023年4月公表の実質コストは0.17%でした。

 

隠れコストを考慮しても、eMAXIS Slim シリーズより低コストになることが予想されます。

 

さらに安くするためには、米国ETFを直接買い付けるしかありませんが、売買手数料や手間、最低取引金額を考えると割に合いません。

「日本最安」と言っても過言ではないでしょう。

 

 

純資産額

サクっと全世界債券の純資産額は34.7億円(2024/05/29)です。

eMAXIS Slim 先進国債券の純資産は1345億円なので、その1/40程度しかありません。

まだまだ小さいことがわかります。

 

一般に純資産額が少ないと、

・運用が中止される(早期償還)リスクがある
・コストが高くなりやすい
・トラッキングエラーが大きくなりやすい

というデメリットがあります。

しかし運用先が巨大ETFの2つのみ、すでに30億円以上あることから、これらは特に心配する必要はないと思います。

 

 

NISA対象

サクっと全世界債券はNISA成長投資枠の対象です。

多くの債券投資信託や東証の債券ETFと同じです。

 

一方で、米国の債券ETFはほとんどが新NISAの対象外です。

 

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分配金

分配金はこれまで出たことがありません。

今後も分配金はなく、再投資されると思われます。

 

 

他の債券ファンドと投資対象を比較

新興国

・サクっと「全世界」債券
・eMAXIS Slim 「先進国」債券

という名前を見ると、上は新興国などにも投資していて、下は投資していないように思いますよね。

しかしこれは大きな勘違いです。

 

サクっと「全世界」債券のIAGGには中国が18.77%韓国が2.31%含まれていますが、その他はほぼ全て先進国です。

 

一方、eMAXIS Slim 「先進国」債券にも中国が9.3%含まれており、明らかに先進国としてカウントしがたい国が入っています。

これは採用しているインデックス(FTSE WBGI)が中国の割合を急増させているからで、下のファンドも全て同じインデックスを採用しています。

・eMAXIS Slim 先進国債券
・たわらノーロード先進国債券
・Smart-i 先進国債券
・ダイワつみたてインデックス外国債券
・上場外債(1677)
・世界国債(2511)

 

「先進国」「外国」「世界」と名称は異なりますが、全て同じインデックスが対象です。

 

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日本

サクっと全世界債券は日本国債にも投資しています。

IAGGに占める日本の割合は10.68%です。

ということは、サクっと全世界債券の 10.52 × 40%=4.2%が日本に投資していることになります。

わざわざ投資信託内の米国ETFを通じて日本に投資するのは、間違いなくコスト高になります。

 

たかだか4.2%ですが、これを嫌うならサクっと全世界債券は避けた方が良いです。

 

 

国債以外

AGGは米国債だけでなく、社債や住宅ローン関連債券(MBS)などにも投資しています。

他の外国債券ファンドは基本的に国債のみですが、この違いはパフォーマンスにはほとんど影響しないと思われます。

(保有しているMBSなどの格付けが高いため、国債とほぼ同じ値動きとなる)

 

 

まとめ 債券投資の最適解

以上を見てきてわかるように、サクっと全世界債券は最安コストで海外債券に投資できる優良商品です。

NISA枠で購入できるため、一生非課税で運用することも可能です。

ぜひ一度検討してみてください。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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