超長期米国債券について TLT, VGLT, EDVを比較

はじめに 今回は超長期米国債の話

 

当ブログでは、これまで多くの債券について調べてきました。

詳しくは債券カテゴリーにて

 

今回は最も安全だけれども、リスクが非常に高いという不思議な存在、超長期の米国債について考えます。

超長期米国債の特徴、投資する意味、また代表的な米国債券ETFについてそれぞれのコスト、特徴を調べてみます。

 

 

超長期米国債券の特徴

米国債=世界で最も安全

債券は基本的に低リスクとされていますが、発行元の信用が高ければリスクは小さいとされます。

債券の中でも最も信用が高いのは、米国政府が保証する米国債です。

 

西側先進国の信用(格付け)も米国と同等とされています。

 

地方自治体が発行する公債、企業が発行する社債もありますが、一般にリスクは国債より高くなります。

 

 

超長期=リスクが高い

債券で大事なのは発行元の信用度とともに、満期までの期間があります。

当然満期までの期間が長い方が、債務不履行(デフォルト)の可能性が高いし、金利の変動の影響を強く受けます。

 

例えば、2020年には30年米国債が1.2%以下、1年物はほぼ0%まで下がりました。

その後急激なインフレが発生し、金利も急上昇するのですが、1年物であれば、1年後には高金利債券への買い替えができます。

一方2020年に30年国債を買ってしまった場合、2050年までその金利で持ち続けるはめになります。

 

実際には債券は市場で売買されているため、途中で損切りすることもできます。

 

 

米国のみ=米ドルに依存

米国債は世界一安全な債券と言えますが、通貨分散という意味では不十分かもしれません。

長期的に米国一強、という時代が終わってしまえば、今よりもドルの価値が下がる可能性が高くなります。

ちなみにeMAXIS Slim先進国国債では、米ドルの割合は48%です。

 

 

 

 

株式との相性は最高クラス

過去記事で詳しく書いていますが、米国株式60%、債券40%で運用する場合、

・総合債券よりも米国債の方がリスクリターンに優れる
・中期(7-10年)と長期(20年超)ではシャープレシオは同等、長期の方がよりハイリスクハイリターン

と言う結果となりました。

 

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総合債券AGGが非常に人気ですが、これには社債も含まれるため、株式との相関で言うと、やや相性が悪くなります。

特にリスク指向の高い方には、期間が長い米国債は絶好の投資対象となります。

 

 

個別ETFについて

 

これまでは超長期米国債がどういうものなのか書いてきました。

ここからは個別の米国ETFについて調べてみます。

 

TLT

正式名称はiShares 20+ Year Treasury Bond ETFと言います。

最も代表的な超長期米国債ETFで、純資産は500億ドル、全ての債券ETFの中で第4位です(1位はBND)。

保有コストは0.15%/年。

直近12ヶ月の配当利回りは3.46%でした。

金利に対する値動きを示すデュレーションは17.08年です。

(金利が1%上がると、価格が17.08%下がる)

 

 

VGLT

正式名称はVanguard Long-Term Treasury ETFと言います。

こちらはTLTとほぼ同じ商品で、TLTより後に上場したため、保有コストがTLTよりも安くなっています。

保有コストは0.04%/年。

直近12ヶ月の配当利回りは3.40%でした。

金利に対する値動きを示すデュレーションは15.50年です。

 

 

EDV

正式名称はVanguard Extended Duration Trs ETFと言います。

VGLと同じVanguard社のETFですが、さらにデュレーションが長く、ハイリスクな商品です。

保有コストは0.06%/年。

直近12ヶ月の配当利回りは3.71%でした。

金利に対する値動きを示すデュレーションは24.26年です。

この中でEDVだけ、NISA成長投資枠の対象銘柄となっています。

 

 

比較一覧表

データは2024/02/01時点。全てmorningstar.comより引用

 

 

比較チャート

まず上記3つのETFのチャートです。

青:TLT 赤:VGLT 黄:EDV 
全て配当再投資後の金額
検証期間は、最も新しいVGLTが上場した2009年以降

 

デュレーションの通り、EDVが最も値動きが激しく、TLTとVGLTはほとんど同じです。

わずかにTLTの方が値上がりが大きいのも、デュレーションの違いで説明できます。

 

 

次にVT(全世界株式)60%、債券ETF40%のポートフォリオを検証します。

青:VT+TLT 赤:VT+VGLT 黄:VT+EDV 
全て配当再投資後の金額

 

先ほどと同じように、値動きの大きさは

EDV>>TLT>VGLTとなりました。

シャープレシオは3者とも0.60で、優劣は見られませんでした。

 

 

まとめ

・超長期米国債の特徴とは
・安全性高く株式との相関が低め
・満期まで長いのでリスク高い
・代表的なのはTLT, VGLT, EDV
・リスク高い順にEDV>TLT>VGLT
・いずれも株式との相性ははほぼ同じ

 

EDVは株式以上の値動きをします。

執筆日の2024/02/02、前日比 +2.92%でした。
株式インデックスでは滅多に見られない値幅です。

投資の際にはリスク許容度をよく考えましょう。

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