はじめに 米国株 or 全世界株という議論
当記事に辿り着いた多くの方が、株式投資をしていると思います。
近年外国株へのアクセスが良くなってきたので、外国に投資している方も多いでしょう。
そして長期投資家の中でいつも言われることが、「米国株か全世界株か」という議論です。
米国株に集中してより高いリターンを狙うか、より分散してリスクを抑えるかというスタンスの違いだと認識しています。
ただこの議論、少しおかしいと思いませんか?
ご存じのように、全世界株の6割以上は米国が占めています。
普通2択の議論は相反するもので行われます。
外国株ならば、「米国か非米国か」が自然な2択です。
これには原因が2つあって、
(過去のリターンが低いものは投資対象となりづらい)・非米国株の良いファンドがない
特に非米国株のリターンが良くないことが大きな要因と考えられます。
日本人が米国に集中している事実
ここで日本人がどれほど米国株に投資しているかを考えてみます。
投資信託の中で、外国株が組み込まれているインデックスファンドをピックアップします。
全ての投資信託、純資産額Top 20 のなかで、外国インデックスファンドが4つランクインしていました。(2022/09/08 時点)
純資産ランク | ファンド名 | 純資産額 (億円) | 信託報酬 (%) |
2 | eMAXIS Slim 米国株S&P 500 | 15,173 | 0.0968 |
9 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 7,014 | 0.162 |
10 | SBI・V・S&P 500インデックスF | 6,889 | 0.0938 |
11 | eMAXIS Slim 全世界株式 | 6,865 | 0.1144 |
上の3つが米国株、ひとつが全世界株です。
全世界株の61%が米国なので、この4ファンドの中で非米国はわずか 6% しかありません。
外国株投資の 94% が米国株で占められています。
40位までで同様の計算をしたところ、米国株の割合は85%でした。
やや割合は下がりましたが、それでも米国株偏重の傾向は変わりません。
もっと対象範囲を広げるとまた結果はいくらか変わるでしょうが、大きな傾向は上記の通りだと思います。
米国株集中は危険
近年の米国株は他国を大きくアウトパフォームしてきました。
下記の2つのETFを比較します。
VXUS:非米国全世界株 ETF
VXUSが設定された2011年からの12年チャートがこちらです。(下の紫色はそれぞれの相関係数)
この12年で米国株は3倍以上、一方非米国株のリターンはほぼゼロでした。
これをみて「よーし、これから非米国株に投資するぞ!😁」と思う人はほとんどいないでしょう。
しかし過去米国株が好調だったという事実と、今後米国株が他国を上回るという予想は全く別の話です。

上がったものにただ乗っかって上手くいくほど、投資は簡単ではありません。
自分が外挿バイアスに陥っていないか常に疑う必要があります。
また通貨を分散するという意味でも、米国以外の株式を持つことに意味があります。
(大陸欧州株を持てば、間接的にユーロを持つことになる)
新興国は政治体制の変化などで、大きく株価が下落するリスクがあります。
しかしその分バリュエーションは安くなっており、リスクリターンのバランスは取れています。
https://www.alliancebernstein.co.jp/files/uploads/AB_Report_EMG_202204.pdf. より引用
筆者の戦略
私は保有する株式の中で、米国株の比率は56%です。(2022年9月現在)
オルカンに占める米国株の割合は61%なので、それよりも少し非米国よりです。
非課税積み立て枠としては、夫婦2人のつみたてNISA、iDeCoで合計11.2万円で、
全世界株 2.3万円
先進国株 2.3万円
新興国株 2.0万円
としています。米国、非米国に分解すると、
非米国株 3.5万円
で、米国株の割合は69%となっています。

投資先がバラバラなのは、以前からなんとなく続けていたり、iDeCoの投資先に全世界株がなかったりするためです。
「ほったらかし投資術 第3版」にもあるように、私も全世界株をおすすめします。
中国など政治体制の違う新興国に投資したくないという方は、米国株ではなく先進国株がおすすめです。
おすすめファンド
米国以外の外国に投資できるファンドを探しましたが、VXUSのようなものはなく、欧州のファンドも良いのがありませんでした。
全世界株、先進国株、新興国株への投資信託、ETFは良いのが複数あるため、これらから選ぶと良いでしょう。
おすすめはいずれも eMAXIS Slimシリーズで、どうしてもETFが良いという方は、以下のETFがおすすめです。
おすすめファンド | 投資信託 | ETF |
全世界株 | eMAXIS Slim | 2559 |
先進国株 | eMAXIS Slim | 2513 |
新興国株 | eMAXIS Slim | 1658 |
なお海外ETFについては
・売買手数料
・為替手数料
などの理由でコスト高になるため、おすすめしません。
・保有コストが大きく異なる ゴールド (GLDM) など
という場合にのみ米国ETFが候補となります。
まとめ
・確かに非米国のリターンは悪い
・ただそれは過去の話、外挿バイアスに陥っている危険あり
・筆者の米国株比率は半分ちょい
・おすすめはやっぱりeMAXIS Slimシリーズ、米国ETFはナシ
非米国株のファンドが日本でも買えるようにしてほしいと、切に、切に願っています🥺🥺
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