年率7%でも長期元本割れ⁉︎ 高リスクの投資はなぜ危険なのか

はじめに リターンだけ見る人が多いが

 

iDeCoが始まり、NISAが始まり更に拡充されて、低コストな投資商品が続々と誕生している現代。

10年前には考えられないくらい、投資環境が良くなりました。

 

老後資金を準備する時、例えば以下のように考えてる人が多いのではないでしょうか。

 

初期資金100万円毎月3万円で30年運用すると、元本1180万円に対して、

 

利回り5%なら2943万円↓

 

利回り7%なら4471万円↓

 

アセットマネジメントOneより引用

 

となります。

米国株の30年リターンが10%あるから、むしろ控えめな予想でこんなに増える😆

…なんて考えてたらヤバいですよ。

 

 

リスクを考えないリスク

当然ながら投資にはリスクがあります。

でも先ほどのグラフには、リスクが考慮されていませんでした。

 

リスクが高いというのがいかに文字通り「危険」かについて考えます。

 

例えばこういう場合はどうでしょう。

 

あなたは40歳で2000万円持っています。20年後の老後資金のためにとある投資をしました。

それは50%の確率で1億円になるが、50%の確率で0になります。

期待リターンは2000万円 → 5000万円。年率4.7%です。

 

すごくあり得そうな期待リターンですね。

さてどうでしょう。考えるまでもなく、こんなもの老後の備えになりませんよね。

(資産がこれとは別に3000万円くらいあれば面白いかもしれませんが)

 

もちろんこれは極端な例ですが、リスクが高いというのは程度の差はあれこういうことなのです。

 

 

リスク込みのシミュレーション

今度は三菱UFJアセットマネジメントのHPでシミュレーションします。

 

先ほどと同じ初期資金100万円、毎月3万円で30年運用を入力します。

期待リターンは高めに7%リスクはeMAXIS Slim S&P500の設定来リスクである22.75%としました。

 

 

すると下位5%は800万円と、元本から -32%のマイナスリターンとなりました。

 

5%の確率をどう捉えるかは人それぞれだと思いますが、私は全然あると思っています。

 

下位30%は +56%、運用利回りは年率2.6%です。

 

さすがに下位30%を無視するわけにはいかないですから、期待リターン7%は、年率2.6%くらいをみといてちょうど良いと考えておくべきです。

 

 

ちなみに期待リターン5%だともっと悲惨なことになります。

 

下位5%はほぼ半減、下位30%はわずか年率0.6%でした。

 

 

インフレを考慮するとリターン7%は高すぎ

そもそも期待リターン設定の話に戻りますが、我々はインフレする社会に生きているので、それを考慮しなければなりません。

 

各国政府が目指すインフレ率は2%で、歴史的には2%より高いことが多かったです。

 

それを踏まえると、インフレ調整後の期待リターンは5%がせいぜいで、私は4%くらいで良いと思っています。

 

ちなみに先ほどのシミュレーションで期待リターンを4%とすると、下位30%でも元本割れします。

 

 

リターンはコントロールできない

だからと言って、投資家がインフレ率や期待リターンを改善することはできません。

金を市場に放り込んだら、あとはお祈りするしかありません。

 

でもリスクはある程度コントロールできます。

ここで分散投資の重要性が出てきます。

 

 

分散できると何が良いのか

では分散すると何が良いのでしょうか。

保有資産のリスクが下がります。

リスクが下がると将来のリターンの見通しが立てやすくなる、というメリットがあります。

 

先ほどの積み立て投資で、仮に期待リターン6%リスク15%にできたとします。

(そのための方法は次回紹介します)

 

 

すると下位5%でも元本割れを回避でき、下位30%では年率2.1%まで改善しました。

 

リスクを下げるためには、株式との相関が低い資産を持てば良く、最も代表的なのは債券です。

 

長くなったので今回はここまで。

次回はリスクを下げる具体的方法、リスクリターンの数字の根拠、そのシミュレーションを紹介します。

 

 

まとめ

・リスクを考えないで期待リターンを皮算用する人が多い
・リスクを考慮すると30年後の元本割れは普通にあり得る
・老後の正しい備えにリスクを下げるのは不可欠
・最も代表的なのは債券保有
・具体的な数字は次回に

 

目新しい話は何もありませんが、実際にシミュレーションをすると驚きました。

「株式を15年持てばほぼ元本割れはしない」という主張が明らかに誤っていることがわかっていただけたと思います。

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