はじめに REITとは
REITとはReal Estate Investment Trust の略称で、不動産投資信託と訳されます。
実物不動産を証券化した商品で、高い利回りのため特に個人投資家から人気があります。
不動産を原資とした商品ですが、株式と同じように証券市場で取り引きされ、実物資産とは違い、高い流動性があるのが特徴です。
このREITについて、今回はその仕組みから注意点、おすすめファンドをご紹介したいと思います。
高配当の理由
REITは株式よりも利回りが高いことがよく知られています。代表的なTOPIX ETFとJ-REITの配当利回りは以下の通りです。
銘柄コード | 配当利回り | |
上場インデックスファンドTOPIX | 1308 | 2.38% |
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 | 1343 | 3.25% |
いずれも 2022/08/02 時点
TOPIXよりも約1%高いですね。これには制度的な理由があって、
利益の90%以上を配当金に回すことによって、法人税が免除される
という法律があります。
そのためREITは利益のほぼ全額が配当に充てられています。
同じような仕組みに以下のインフラファンド(太陽光発電など)が挙げられます。
いちごグリーンインフラ投資法人(9282)
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9283)
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)
東京インフラ・エネルギー投資法人日本再生可能エネルギーインフラ投資法人(9285)
エネクス・インフラ投資法人(9286)
ジャパン・インフラファンド投資法人(9287)
そのため売却益よりも配当利回りを得たい、不労所得が欲しいと考える投資家はREITが有力な選択肢となります。
さてここからは、おすすめのREITファンドを調べていきます。
J-REITのおすすめファンド
最もおすすめなのは
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 (1343)
です。
おすすめの理由は、
・純資産額が大きい
この2点で、特にコストが安い(年率 0.1705%)ことが最大の理由です。
もし他のファンドを組み合わせて、毎月分配金を得たい場合は、
この2つを組み合わせると良いでしょう。いずれも信託報酬が最安レベルで、運用期間も長く、十分な純資産額があります。
おすすめJ-REITの比較表 (2022年7月現在)
信託報酬 (税込) | 純資産額 (億円) | 分配月 | |
1343 | 0.1705% | 4686 | 2, 5, 8, 11 |
1597 | 0.1595% | 1646 | 3, 6, 9, 12 |
2556 | 0.1705% | 1026 | 1, 4, 7, 10 |
他にも良いファンドはいくつかありますが、毎月(隔月)分配型の商品は、コストが高いので買ってはいけません。
海外REITの比較
国内REITに比べると海外REITは選択肢が少なくなります。
その中でも良いファンドがこちら↓
NEXT FUNDS 外国REIT・S&P先進国REIT指数(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信(2515)
新興国REITを買いたい場合には、eMAXIS 新興国リートインデックス がほぼ唯一の候補となります。
しかし信託報酬が高い(年率 0.66%)、市場規模が小さい、値動きが激しい という理由からおすすめしません。
米国ETFは買う必要なし
ここまで国内に上場しているファンドを調べてきました。
ところで米国に上場しているETFの中で、良い商品はないのでしょうか。
→結論から言うとありません。
SBI証券、楽天証券で購入できるREIT ETFは以下の2つがあります。
IYR iShares U.S. Real Estate ETF
RWR SPDR Dow Jones REIT ETF
IYR は米国REIT、RWRは先進国REITです。
年間コストはそれぞれ
IYR 0.41%
RWR 0.25%
と、日本のファンド (2515) よりも高いコストになっています。
しかも米国株の配当金は現地と日本で二重課税されてしまいます。
取り返す方法もあるのですが、確定申告の手続きが煩雑ですし、所得が高くないと全額取り戻すことができません。
円からドルに替える時の為替コストも考えると、米国ETFはおすすめできません。
ETFではなく投資信託を選ぶなら
ここまでETF(上場投資信託)をご紹介してきました。
ただ配当金を受け取らずに再投資したい場合は、一般の投資信託がおすすめです。
配当自動再投資の投資信託を選ぶと、配当にかかる税金が引かれずに再投資されます。
その代わり売却時に売却益に応じた税金(約20%)がかかります。
国内REIT、海外REITともにこの一本!というファンドがあります。それが
です。信託報酬が安いことで有名なeMAXIS Slim シリーズの商品です。信託報酬(税込)は、
国内REIT … 0.187%
先進国REIT … 0.22%
と、ETFの最安水準と同等です。
これ以外の投資信託も多くありますが、eMAXIS Slim だけ押さえておけば十分です。
REITの注意点
株式よりも値動きが激しい
株式と同程度のリターンが期待できるREITですが、値動きは時に株式よりも激しくなります。
2008 – 09年のリーマンショックと、2020年のコロナショック時の下落幅を株式と比較します。
リーマンショック | コロナショック | |
米国株式 | -58% | -35% |
米国REIT | -75% | -43% |
日本株式 | -62% | -31% |
日本REIT | -74% | -50% |
日米いずれも、暴落時はREITの方が株式よりも下落幅が大きかったことがわかります。
REITは不動産投資であるため、株式投資よりも安全だと考える人もいますが、実際にはより慎重な投資が求められます。
多額の投資は危険
インデックス長期投資は、その多くが時価総額加重平均で計算された指数をもとにしています。
また現代ポートフォリオ理論では、時価総額加重平均が最適なポートフォリオであるとされています。
現代ポートフォリオ理論についてはこちらに詳しくまとめられているので、興味のある方はご覧ください。
それではREITと株式の時価総額は、それぞれいくらでしょうか。Wikipediaなどで調べると、
2021年末の全世界REIT時価総額は 2.5兆ドル
2020年の全世界株式時価総額は 93兆ドル
でした。時期の違いはありますが、REIT は株式の 2〜3% の市場規模に過ぎないとわかります。
つまり現代ポートフォリオ理論的にいうと、株式を100万円持っているならば、REITを2〜3万円持つのが正しいということになります。
どうでしょうか?かなり少なく感じますよね?
少なくともREITをメインの投資にしたり、株式と同じくらい保有するのは偏ったポートフォリオになっていると言えます。
まとめ
いかがでしたか。今回は、
・REITの基礎知識
・REIT投資の注意点
・J-REIT、海外REIT ETFのおすすめ
・投資信託のおすすめ
・REIT投資の注意点
について解説しました。
ご質問、調べてほしいことなどあればコメントお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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