はじめに 米国短期国債とは
これまでにいくつも債券ファンドを取り上げてきた当ブログですが、今回は米国短期国債ETFについて調べます。
読んで字の通り、「短期」の「アメリカ国債」に投資するファンドです。
ここでいう短期とは、概ね1〜5年以内に満期を迎える国債を指します。
日本で買える多くの先進国国債は、満期が10年以内の期間の商品が多いです。
なのでここで言う短期米国債を持っている方は少ないと思います。
・米国短期国債はどのような方に向いているのか
・代表的な4商品を比較
と言う順番で書いていきます。
今回紹介するETFは全てSBI、楽天証券で購入することができます。
米国短期国債がおすすめな人
リスク許容度が低め
一般に債券は満期までの期間が長いほど、値動きが大きくなります。
短期国債であれば、相対的に値動きは小さくなります。
また発行元は世界唯一の超大国、アメリカなので、この点でも安全性の高い商品と言えます。
為替リスクを取りたい
リスク許容度が低い方は、日本円での預金や国内債券を考える方が多いでしょう。
もちろん円建てで見れば最もリスクが低い運用先となりますが、日本円の価値が下がれば(=円安)買えるモノが少なくなってしまいます。
基軸通貨である米ドルで運用することで、円安になっても購買力を維持することができます。
円高になれば当然損失が出ますが、その時には円建ての給料や年金の価値がより高くなるので、それで相殺できると考えることができます。
代表的なETF4選
BSV
正式名称はVanguard Short-Term Bond ETFと言います。
純資産は316億ドル、日本円にすると4.7兆円。
日本で最大の投資信託はeMAXIS Slim米国株 S&P500 の3.53兆円なので、それよりも大きなファンドです。
保有コストは0.04%/年。ETFの中で最低水準の安さです。
直近12ヶ月の配当利回りは2.45%でした。
金利に対する値動きを示すデュレーションは2.64年です。
(金利が1%上がると、価格が2.64%下がる)
SHY
正式名称は iShares 1-3 Year Treasury Bond ETFと言います。
純資産は254億ドル、日本円にすると3.78兆円。保有コストは0.15%/年。
直近12ヶ月の配当利回りは2.98%でした。
金利に対する値動きを示すデュレーションは1.89年です。
VTIP
正式名称はVanguard Short-Term Inflation-Protected Securities Index Fund ETFと言います。
このファンドは Inflation-Protectedとついている通り、インフレに合わせて価値が上がる国債(TIPS)で構成されています。
純資産は117億ドル、日本円にすると1.74兆円。
保有コストは0.04%/年。
直近12ヶ月の配当利回りは2.85%でした。
金利に対する値動きを示すデュレーションは2.36年です。
このファンドのみ、NISA成長投資枠で購入することができます。
SHV
正式名称はiShares Short Treasury Bond ETFと言います。
純資産は178億ドル、日本円にすると2.65兆円。
保有コストは0.15%/年。
直近12ヶ月の配当利回りは4.71%でした。
金利に対する値動きを示すデュレーションは0.27年です。
他のETFと比べても桁違いに短く、価格変動はほとんどありません。
比較一覧表
データは2024/02/06時点。全てmorningstar.comより引用
比較チャート
まず上記3つ(BSV, SHY, VTIP)のETFのチャートです。
全てPortfolio Visualizerより引用。全て配当再投資後の金額。
一度に3つしか表示できないため、分けてお示しします。
BSV(青)とSHY(赤)は値動きの方向が全く同じで、デュレーションが長いBSVの方が変動が大きくなっています。
VTIP(黄)はこの中では特徴的な値動きとなっています。
最もわかりやすいのは、コロナショック以降の約2年間、強烈なインフレが起きたところで、VTIPはグンと上昇しています。
次に青線をBSVからSHVに変えた比較チャートです。
SHVは全くと言っていいほど下落がありません。Max Drawdown(最大下落率)がわずか -0.30%です。
米ドルベースでは預金のような運用ができると考えられます。
まとめ
・リスクは避けたい、米ドルで運用したい人におすすめ
・BSV, SHY, VTIP, SHVを比較
・値動きはBSV>SHY、VTIPは独自の値動き
・SHVはほぼ値動きなし
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