含み資産の多い銘柄を発掘!解散価値を下回るおすすめ割安株8選

日本株

目次

はじめに

15年ほど前、その当時は村上ファンドやライブドアによるニッポン放送買収騒動などで、割安株が注目された時期がありました。

その後割安のねじれは株価の上昇、上場廃止などで、多くが解消されていきました。

今でもそのような割安株があるのか調べてみました。ポートフォリオの一角に検討してもらえたらと思います。

割安株の探し方

割安の代表的な指標にPBRがあります。

PBRは解散価値と言われますが、PBR1倍でも実際に解散して同額が手元に残るわけではありません。

もっと厳しく会社の資産を評価して、本当の解散価値を計算します。

以下の基準を「正味の解散価値」と呼ぶことにします。

 

具体的には、流動資産 (の中でも特に換金性の高いものから総負債を引く

それが時価総額より高い物を探す。

 

例えばミクシィ(2121)を例にとって見てみます。

まずミクシィの時価総額は2321億円 (2021年3月現在) で、これが基準になります。

 

次に決算短信を見ます。mixi IRと検索します。

IRとはInvestor Relationsの略で、投資家向け広報と訳されます。

ミクシィの検索結果

企業のIRページの中に、決算短信という項目があります。

これは3ヶ月ごとに企業から出される決算の報告書になります。

 

今回見るのは6ページ目にある、貸借対照表 (バランスシート、B/S) です。

さまざまな項目がありますが、今回は「正味の解散価値」を簡単に算出するため、かなり絞って見ていきます。

業種、会社によって多少項目の名前が異なる箇所があります。

mixiのB/S

現金及び預金 売掛金 × 0.9 有価証券 × 0.9 投資有価証券 × 0.8 ー 負債合計

これを会社の資産として計算します。会社の設備や土地など、即金性の低そうなものは全て除外しました。

この場合ミクシィの正味の解散価値は

「1442+113×0.9+137×0.8 – 322 = 1331億円」

と計算できます。

時価総額は2321億円だったので、今回の基準からは惜しくも外れます。

 

しかし今や正味の解散価値>時価総額の会社はほとんどありません。

ミクシィも財務的にかなり優秀と言えます。

また、先程の計算式がプラスになっている限りは当面資金がショートする可能性はないと考えられるので、それを銘柄選びの一つの基準としても良いと思います。

 

ただ財務が優秀でも、赤字を続けている会社は将来の財務が棄損することが予想されるので、最低限赤字か黒字か確認はします。

mixiの業績

ミクシィは問題ありません。

 

一時は日本のSNSの覇権を取っていたハイテク企業なのに、今や割安株の一つというのは何だか面白いですね。

推奨銘柄 (2021年3月時点)

繰り返しになりますが、

現金及び預金 売掛金 × 0.9 有価証券 × 0.9 投資有価証券 × 0.8 ー 総負債 > 時価総額

の会社を中心に紹介します。

推奨1  瀧上工業(5918)

愛知県半田市にある橋梁・鉄骨・鉄塔・その他鋼構造物を製作するメーカーです。

時価総額 144億円

瀧上工業のB/S


111 + 84×0.9 + 6×0.9 + 85×0.8 – 84 = 176
億円

正味のPBR0.82となります。

瀧上工業の業績

今季は黒字でOK

推奨2  ゲームカード・ジョイコ(6249)

パチンコ・パチスロ用プリペイドカードシステム機器の企画・開発・販売・貸与・保守等を行う会社。

時価総額 181億円

ゲームカードジョイコのB/S

73 + 7×0.9 + 184×0.9 + 84×0.8 – 63 = 249億円

正味のPBR0.73となります。

ゲームカードジョイコの業績

業績は減益ながら黒字でOK

推奨3  キッセイ薬品(4547)

大手医薬品メーカー。

時価総額 1280億円

キッセイ薬品のB/S

232 + 274×0.9 + 231×0.9 + 1301×0.8 – 478 = 1249億円

惜しくも時価総額に届きませんでした。

正味のPBR1.02となります。

キッセイ薬品の業績

業績は増益で◎

推奨4  中部鋼鈑(5461)

名古屋市にある鉄鋼メーカーです。

時価総額 235億円

中部鋼鈑のB/S

90 + 132×0.9 + 140×0.9 + 57×0.8 – 86 = 294億円

正味のPBR0.80となります。

中部鋼鈑の業績

業績も問題なし

推奨5  応用気質(9755)

最大手の地質調査会社(地質コンサルタント)。建設コンサルタント業務も上位

時価総額 360億円

応用地質のB/S

300 + 15×0.9 + 214×0.9 + 9×0.9 + 56×0.8 – 162 = 397億円

正味のPBR0.91となります。

応用地質の業績

業績も比較的安定していて問題なし。

推奨6  帝国通信工業(6763)

電子部品の開発、製造、販売を行う電子部品メーカーです。

時価総額 119億円

帝国通信工業のB/S

89 + 33×0.9 + 24×0.8 – 37 = 101億円

正味のPBR1.18と、この中では高くなりました。

帝国通信工業の業績

業績は増益で○

推奨7  京成電鉄(9009)

私鉄大手で、都心から羽田空港、成田空港への空港アクセスが主要。

こちらはこれまでと評価方法が違います。

京成電鉄はオリエンタルランド(OLC) (4661)の筆頭株主で、同社の19.97%を保有しています。

OLCの時価総額は63046億円なので、保有時価は

63046×0.1997 = 12590億円

京成電鉄の時価総額は6586億円なので、時価総額の1.91倍のOLC株を保有していることになります。

推奨8  昭栄薬品(3537)

界面活性剤などの化学品事業が中心。

時価総額 35億円

17.4 + 57.4×0.9 + 65.6×0.8 – 74.9 = 46.7億円

正味のPBR0.75となります。

また同企業は花王 (4452) の株を69万株、50.7億円相当を保有しています。

これは時価総額の1.45倍に相当します。

注意点

これらの割安株は多くが数年、10年単位で放置されています。

どこかの企業やファンドが買収を仕掛けない限り、なかなかこの割安は解消されません。

一方大きな赤字さえ出さなければ、持っている資産が株価を下支えしてくれる安心感もあります。

配当をもらいながらの長期投資がおすすめです。

2021/04/12 時点での株価

まとめ

・証券会社のスクリーニング機能では出てこない割安株を紹介

・割安株はいつ評価されるかわからないので、10年以上持つつもりで

・ポートフォリオの一角としてご検討ください

今回調べるのまあまあ面倒くさかった笑

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