はじめに 長期投資は全世界株が良いが…
2024年になり、いよいよ新NISAが始まりました。
既に積み立て注文をしている人、これから始める方、360万円年初一括注文した方など、色々でしょう。
あるいは名前は聞いて気にはなっているけど始めていない方、これが一番多いかもしれません。
さて長期投資においては、広く分散された株式ファンドが最も合理的です。
その筆頭格が全世界株ファンド、特にeMAXIS Slim全世界株式、通称オルカンでしょう。
2023年末の時点で純資産額1.8兆円、全ファンドの中で第3位。
第1位はeMAXIS Slim 米国株S&P500で、「米国株か全世界株か」の中でどちらか、あるいは両方を買っている方が多いと思います。
日本経済新聞HPより 投資信託純資産ランキング 2024年1月5日時点
さて今回はよくある「米国株か全世界株か」ではなく、どの全世界株を買うか、について考えてみます。
具体的には、eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)と、Vanguard Total World Stock ETF(ティッカーコードVT)について比較します。
オルカンについて
概要
eMAXISシリーズは三菱UFJアセットが運用するファンドの名前で、その中でも低コストなeMAXIS Slimシリーズが高い人気があります。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトの元で、実際に何度も信託報酬の引き下げが行われてきました。
直近では2023年9月に、オルカンは信託報酬を0.1133%から0.05775%に引き下げています。
対象インデックス
インデックスファンドは、その名の通り対象となるインデックス(指数)が存在します。
オルカンのインデックスは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(税引後配当込み、円換算ベース)」です。
このインデックスは先進国23カ国、新興国24カ国の大型株、約3,000社で構成されています。
世界の時価総額の約85%をカバーしています。
信託報酬(実質コスト)、手数料
上記のように信託報酬が引き下げられ、現在は0.05775%になっています。
そのほかに隠れコストですが、2023年4月の運用報告書にはその他費用が0.03%となっています。
2022年は0.04%、2021年は0.03%でしたので、今後も0.03%前後になると考えられます。
そうすると実質コストは0.08775%程度となります。
また証券会社によっては、投資信託を保有するとポイントがもらえることがあります。
ネット証券最大手のSBI証券の場合、年率0.0175%に相当するポイント付与が得られます。
これを加味すると、実際にかかるコストは
0.05775+0.03ー0.0175=0.07025%と考えられます。
購入、売却は無料です。
非課税投資、必要金額
NISAのつみたて投資枠が使用可能です。
もちろん成長投資枠でも買うことができます。
SBI証券のiDeCoでは、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)ならば買うことができます。
楽天証券iDeCoには低コストな全世界株ファンドはありません。
ほとんどの非課税投資枠を使うことができます。
多くの投資信託と同様、100円から買うことができます。
VTについて
概要
運用元のバンガード社はブラックロックと並び、世界最大級の運用会社です。
低コストのファンドを提供することで有名で、VTの他にS&P500のVOO、全米株式のVTI、総合債券のBNDなどが有名です。
VTは2008年6月に上場した歴史のあるETFで、純資産額は318億ドル、約4.6兆円(2024年1月)という巨大ファンドです。
対象インデックス
VTの対象インデックスはFTSE Global All Cap Indexです。
これはMSCIと異なり、小型株まで対象となっており、そのため世界の時価総額の98%までカバーされています。
このインデックスはMCSIと同じく47カ国が対象で、約10,000社で構成されています。
VT自体は全てを投資しているわけではなく、このうち約6,800社に投資しています。
信託報酬(実質コスト)、手数料
Expense ratioは0.07%です。
米国ETFには隠れコストという概念がなく、expense ratioがそのまま全てのコストとなります。
SBI証券では為替手数料が無料で、購入時手数料もVTは無料です。
NISA口座では売却手数料も無料ですが、課税口座では売却時に手数料がかかります。(約定代金の税込0.495%、上限は税込22ドル)
非課税投資、必要金額
NISAの成長投資枠で買うことができます。
最低投資金額は101.13ドル=14,616円です。(2024/01/08時点)
ファンド比較表
オルカン | VT | |
対象指数 | MCSI | FTSE |
時価総額カバー率 | 85% | 98% |
実質的な保有コスト | 0.07025% | 0.07% |
売買手数料 | 無料 | NISAなら無料 |
配当利回り | 0 | 2.12% |
つみたて投資枠 | ◯ | × |
成長投資枠 | ◯ | ◯ |
最低投資金額 | 100円 | 1.46万円 |
SBI証券での売買を想定 2024/01/08時点
オルカンがおすすめな人
💰配当金(分配金)を受け取りたくない
→内部で自動的に再投資される
💰ファンド一本にまとめたい
→NISAつみたて投資も使用できる
💰少額から投資したい
→特に投資額が小さい人は有用
💰「日本除く」に投資したい
→VTには日本も含まれる
VTがおすすめな人
💰配当金が欲しい
→NISAなら課税は米国での10%のみ
💰より広く分散したい
→小型株も含むため分散効果が高い
💰本場のETFに投資したい
→米国ETFの売買コストがNISAなら0になった
高配当株投資をするくらいならVTを
オルカンとVTはコストがほぼ変わりません。
大きな違いは配当の有無、つみたて投資枠対象の有無でしょうか。
私の考えを1つ。
リベ大ではインデックス投資(米国 or 全世界)+高配当株投資をおすすめしています。
実際そのように投資している人も多いでしょう。
私は配当金が欲しければ、VTに投資することをおすすめします。
資産の半分で4%の高配当株を買えば、全体では2%の利回りとなります。
であれば、資産を全てVTにすれば、上記と同じ利回りが得られます。
(現実にはつみたて投資枠ではETFは買えませんが)
運用の参考になれば幸いです。
まとめ
・VTはNISAで売買手数料、為替手数料が無料に
・オルカンとVTはコストはほぼ同じ
・より広く分散したい人、配当が欲しい方はVTがおすすめ
・つみたて投資枠も使いたい、少額から投資したい方はオルカンがおすすめ
調べる前はオルカンのコストがもう少し高いと思っていたので、少し驚きでした。
本当に投資しやすい環境になったとつくづく思います。
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