はじめに 楽天から新ファンドが登場
少し前になりますが、2021年4月に楽天から新しいファンドが登場しました。
といいます。
面白いコンセプトを持ったファンドなので、今回ご紹介致します。
・信託報酬、実質コスト
・取り扱い会社
・注意点
・高パフォーマンスは今後も期待できるのか
・お勧めできるか
の構成で書いていきます。
本記事に出てくるイメージ図は、全てトレプラHPより引用しています。
時間がない方のために、最初に「ざっくり説明」をしておきます。
ざっくり説明
S&P500 長期投資と、順張りデイトレを組み合わせた珍しいファンド
・個人ではとても真似できない
・手数料が比較的安い
・ドローダウンが下げられるかも
・理論上はシンプルにS&P500 を買っていた方が良い
・純資産額が小さい
インデックス長期投資にもう一手間加えたいと考えている人
ファンドの概要
このファンドは2階建ての中身になっていて、
・値動きに応じて順張りデイトレードを行う日中トレンド戦略
に分けられます。
ベータ戦略部分は資産と同額の米国株式を先物で保有。
これは簡単ですね。
日中トレンド戦略の部分が少しややこしいのですが、ある時間帯において
前日比 -0.5%以下で最大50%の売り建て
これを1日最大4回行います。
ポジションは持ち越さず、終値までに全て決済します。
取引のイメージは以下の通り↓
なぜこんなことをするのかというと、1日の中で上下に大きく動いた場合は、そのトレンドが継続する傾向があるから、だそうです。
この2つの戦略を組み合わせると、下落を抑えつつS&P500 を上回るパフォーマンスが期待できます。
下のチャートはトレプラのバックテストですが、
特に暴落時の耐性に強い
個人レベルでの検証は非常に困難ですが、体感としては確かに引けにかけて大きな値動きをしている印象があります。
信託報酬、実質コスト
目論見書を見ると、信託報酬は年率 0.5775%です。
運用開始後4ヶ月での決算では、実質コストは 0.59 %/年 となっています。
執筆時点ではまだ1年間の決算は出ていないので、隠れコストは不明です。
類似ファンドがないので比較は難しいですが、同じ楽天から出ている USA360 とコストはほぼ同じです。
(USA360 の信託報酬は年率 0.4945%、総経費率は 0.61%)
取り扱い会社
auカブコム証券、PayPay銀行、松井証券、楽天証券
この4社で取り扱っています。
4社とも購入時手数料は無料です。
注意点
純資産が少なすぎる
純資産が非常に少なく (0.86億円) 、しかも全く増えていません。
これは重大な懸念点と言わざるをえません。
一般に純資産が少ないと
・コストが高くなってしまう
・繰上償還のリスクが高まる
ことが考えられます。
トレードの期待値はゼロ
これも全てのトレードに言えることですが、バックテストで結果が良かったからと言って、それが未来も続くかは誰にもわかりません。
アクティブファンドは、必ず運用開始前にシミュレーションをします。
そして必ずシミュレーション結果は良いものを売り出しています。
しかしリターンが平均に回帰するなら、未来のパフォーマンスはマイナスになる方がむしろ自然です。
そのため、継続してインデックスに勝てるファンドはごく僅かになってしまいます。
高パフォーマンスは今後も期待できるのか
それでも私は、この順張りデイトレを加える戦略は機能すると考えています。
なぜかと言うと、暴落時においては、合理的判断を超えた投げ売りが発生するからです。
もう一度トレプラのバックテストを見てみましょう。
日中トレンド戦略は暴落時にリターンを出してきたことがわかります。
株価急落時には精神的な不安、資金 (証拠金) 不足から、より暴落が加速する傾向があります。
この人間の心理、暴落時の資金ショートの性質は今後も変わることがありません。
? AI を駆使した最先端投資
? ESG関連銘柄投資
? ハイテク株レバレッジ投資
のような流行りに乗っかっただけのスタイルとは大きく違います。
お勧めできるか?
リターンを安定させるためにデイトレを組み合わせる。大胆で良い戦略だと思います。
このやり方は個人では真似することがほぼ不可能です。
(毎日夜通しで市場に張り付いていないといけない)
それを年間 0.6%程度のコストでやってもらえるのは、良心的とも言える安さです。
インデックス長期投資をベースにして、もう少しリターンを求める人
このような投資家のニーズを応えるファンドです。
同社の USA360 と購買層は重なるでしょう。
しかし上にも書きましたが、規模が小さすぎるのが非常に大きな欠点です。
安定した長期運用のためには、少なくとも純資産は10億円くらい欲しいところ。
なので私の結論は、まだ買うのは早い です。
それから参戦しても全く遅くありません。少し気長に待ちましょう。
まとめ
・S&P500 に順張りデイトレを組み合わせる新しいファンド
・全体的なコンセプトはよく、コストも低め
・しかし純資産が1億円未満と小さすぎる
・ファンドが育ってきたら有力な投資対象
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