目次
- はじめに 株式と相性の良い債券は長期米国債
- iシェアーズ米国債20年超ETF(為替ヘッジあり) (2621)について
- マーケットメイクについて
- 為替ヘッジあり、のみが上場している
- 為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべき?
- まとめ
はじめに 株式と相性の良い債券は長期米国債
これまでいくつか債券について調べてきました。
・中期債が最もシャープレシオが高くなる
・リターン、ドローダウンの改善には長期債券が良い
という結論で、長期米国債をおすすめしていました。

長期米国債ETFは、バンガード社のVGLTがあります。
年間保有コストはわずか0.05%ですが、日本から買う場合には為替手数料、売買手数料がかかります。
(証券会社、売買金額にもよりますが、50万円程度までは往復で1.5%かかります)
iシェアーズ米国債20年超ETF(為替ヘッジあり) (2621)について
日本で買える、唯一の長期米国債がこの2621になります。
米国ではtickerを TLT と言い、世界最大の長期債券ETFです。
今回このETFを紹介する目的は、出来高が増えてきたからです。
この2621は2020年10月に上場しました。
当初は出来高が2ケタの日もありましたが、徐々に取引が活発になり、今では安定して数千〜数万株以上に増えています。

国内にも多く債券ETFが上場していますが、その多くはほぼ取引されておらず、容易に売買ができません。
マーケットメイクについて
2621はもともとマーケットメイク採用銘柄に指定されていたので、出来高がなくても売買は可能な状況でした。
しかし個人、機関投資家の売買が活発な方がスプレッドが小さくなり、余計なコストが減ります。
一例として、2021/05/19の14時ごろの板気配を表示します。
2095円と2099円にメイカーによる板があるのが分かります。
他に売買の参加者がいない場合は、買った時点で4円の含み損が出るという事になります。
債券はもともと値動きが少ないので、このコストは株式に比べて相対的に重くなります。
マーケットメイクとは…
流動性を確保するため、専門業者が取引値付近に厚い板を並べておく事。
個人投資家は安定した値段の約定が期待できる。
メイカーは売買スプレッドの利益を出す事ができる。
為替ヘッジあり、のみが上場している
米長期国債ETFは為替ヘッジなしの商品はありません。
為替ヘッジがいらないならば本家のTLTやVGLTを買えば良いという事なのでしょう。
為替ヘッジを行うと、その名の通り為替の影響がほぼなくなります。
コストは当該通貨 (ドルと円) の金利差プラスαです。
現在 (2021年5月) はどちらも低金利なのでコストは安くなっています。
債券の為替ヘッジあり、なしで価格はどの程度変わるのでしょうか。
為替ヘッジあり、なしが両方あり、それぞれ流動性が確保されている債券ETFは日本で唯一 2511、2512 (FTSE世界国債インデックス) があります。
2511…為替ヘッジなし
2512…為替ヘッジあり
チャートを並べると以下のようになります。

特に相関係数のチャートを見ると明らかですが、ほとんど相関がありません。
債券価格の影響より、為替の影響の方が大きいと言えます。
そのため、全く別の商品だと認識すべきでしょう。
為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべき?
では為替ヘッジありとなし、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
日本円を基準に考えるならば、為替ヘッジありの方が良い商品と考えられます。
期待リターンは、ヘッジのコスト分、わずかにヘッジなしの方が高い
ボラティリティは、ヘッジありの方が明らかに低くなる
→シャープレシオはヘッジありの方が高い
しかし日本で生活して働いている我々は、投資は外国商品を選ぶべきだと考えます。(分散の観点から)
なので私は為替ヘッジなしが好きです。とはいえ多額の手数料を払って米国ETFを買うよりは、2621がおすすめなのは変わりません。
まとめ
・長期米国債は多くの株式投資家におすすめできるアセット
・2621が出来高増えて便利になってきた
・本当は為替ヘッジなしが良かったなぁ
これからもっと幅広く低コストな商品が出るといいですね。
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