新iDeCoを改めて計算 結果は前回結論と真逆に

はじめに iDeCo増額の続報

iDeCoの拠出限度額が毎月2.3万円から6.2万円に引き上げられそうだと過去記事に書きました。

 

iDeCo掛け金拡大の一報 増額の必要なし → 後日追記あり
Yahoo!ニュースでiDeCoの掛け金上限が増額されるというニュースが出ました。 リンク切れのことがあります。 記事を引用すると、 企業年金に加入している会社員は現在、イデコの掛け金上限は月2万円で、企業年金の掛け金...

 

そこでは受け取り時の課税が莫大になるから増額はやめておけ、と結論づけました。

今回は改めて計算し直し、損得を考えてみました。

 

 

毎月6.2万円積み立てたら

利回り6%、所得税率10%で計算

仮に毎月62,000円(維持手数料171円を除く61,829円)を30年間、年率6%で運用した場合、元本2232万円が6211万円になります。

 

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この間の節税を所得税10.21%(復興税含む)、住民税10%とすると、毎年6.2 × 12 × 0.2021=15.04万円の節税になります。

前回記事では所得税5%で計算しましたが、その所得でiDeCo 6.2万円はかなり厳しいので、10%のラインから計算しました。

 

節税額は30年で451万円。これも年率6%で運用できたら1259万円。課税口座(特定口座)の運用なら税金164万円引かれて1095万円

 

6211万円を一括で受け取ると、退職所得控除が1500万円あり、そこからさらに1/2されるので、課税所得は2355.5万円。計算式は省略しますが、税金は912万円となります。

元本2232万円に対して受け取れる金額は5299万円。さらに節税分が451万円、節税+運用で1095万円なので、合計でそれぞれ5750万円, 6394万円となります。

 

ちなみに全額課税口座で毎月6.2万円を30年間、年率6%で運用すると6228万円になり、20.315%かかる税金は811万円、手取りは差し引き5417万円となります。

 

iDeCoと特定口座での運用を比べると、節税分を考慮するとiDeCo有利、節税分まで運用できたらiDeCoの圧勝となります。

枠の問題は置いといて、仮に全てNISAで非課税運用したら6228万円、iDeCo節税分を特定口座で運用したら6394万円なので、節税分まで運用できれば iDeCoは必ずNISAより有利になります。(利回り6%)

 

 

利回り、税率を変えて計算 一覧表

上記と同じ計算を利回りを4〜8%、所得税+住民税率を20.21%、30.42%、33.48%に分けて、合計15通りで計算しました。

 

 

語句の説明はこちら↓

一番左の「iDeCo」:その利回りで運用した時の30年後の金額
「iDeCo課税」:一括受け取り時にかかる課税額
「特定口座」:毎月6.2万円をその利回りで運用した時の金額
「特定口座税引後」:税金20.315%を支払った後の手取り
「iDeCo – 課税」:iDeCoを一括受け取り、課税額支払い後の手取り
「iDeCo節税額運用 税引後」:iDeCoで節税できた金額を特定口座で運用した場合の、20.315%税引後の金額
「iDeCo – 課税+節税を運用」:iDeCo手取り+節税分を30年間運用した場合の金額
「特定口座との差」:iDeCoでの運用と特定口座で運用した時の差。プラスがiDeCo有利

 

 

数字が多すぎるので、特定口座運用との比較だけの表がこちら↓になります。

 

 

条件によらずiDeCoが有利

個人の税率、利回り別に作りましたが、共通点、傾向が見つかりました。

💰節税を考慮すると、利回りや税率によらず、必ずiDeCoが特定口座より有利になる

💰節税分を特定口座で運用すると、毎月6.2万円NISA運用よりも有利になる
(この場合元本2232万円あるが、夫婦などでNISAを合算すれば全額非課税が可能)💰節税分を運用しない(貯金 or 生活費で消費する)場合は、利回りが低い方がiDeCoの有利が強まる💰節税分を運用できれば、利回りが高いほどiDeCoの有利が強まる

 

私は前回の記事で、拠出金が高くなると受け取り時の課税が大きくなって(iDeCoの一時金受け取りは累進課税)、iDeCoはメリットないと書きました。

しかし結果は拠出金額を上限予定の6.2万円に上げても、利回りが高くなっても、個人の税率がそこまで高くなくても、常にiDeCoが有利とわかりました。

 

 

iDeCo利用方法の最適解

結局iDeCoが最強で、iDeCo→NISAの順で埋めていけば良いとわかりました。

 

iDeCo勝ち確にするためには、節税になった金額をさらに運用する必要があります。

 

所得税率が5%のラインの方は、iDeCoのメリットが強くない、手もと資金が少ないことが多い、どちらを選んでも絶対額に大差ない、という理由から、NISAを選択しても良いと思います。

 

私は所得税+住民税20%(課税所得330万円以上)が維持できる限り、iDeCo満額で行きたいと思います。

 

ここで必ず出る疑問、反論が、税制改正で受け取り時の課税が強化されるのではというものです。

 

 

iDeCoが改悪されたらどうする

実際に今の制度が維持されるのかは誰にもわかりません。

特別法人税復活の可能性もゼロではありません。

 

わからないことはわからないので、今わかっている情報で判断すれば良いのです。

 

最悪の制度改正は、課税退職所得金額 = (退職金 – 退職所得控除額) × 1/2 の「1/2」がなくなることです。

もし将来大幅な制度改悪がなされたら、その時から拠出を停止か、最低5,000円に減らすという逃げ道があります。

 

iDeCoは後から遡って支払うことができないので、早めに始めましょう!

 

 

まとめ

・iDeCo増額のシミュレーションを計算
・節税効果は利回り、税率によらずプラス
・iDeCo→NISAの順番が最適解。拠出額増えてもかわらず
・制度改悪があったら方針変更、今わかる情報で判断を

時間はかかりましたが、調べて良かったと思います。

投資判断の一助になれば幸いです。

 

 

2024/12/26追記:退職所得控除が0の場合

今回は退職所得控除を全額使える設定でしたが、逆に全く使えない(退職所得控除0)ケースも検討しました。

 

 

このケースをまとめると、

💰所得税率10%ラインの方は、利回りによらずNISAが有利
💰20%以上の所得の方は、節税分を運用できれば利回りによらずNISAよりお得
となりました。ご参考までに。

コメント

  1. 疲弊した地方勤務医 より:

    資産形成にいそしむ勤務医です。
    EDVの記事など参考にさせて頂いておりました。

    世間でiDeCoが話題(問題)になっているのは、上限額よりも、退職所得控除に10年縛りが生じたことなのではないかと。

    退職金総額が大きい、もしくは高収入で毎年の節税効果が大きい、という方であれば、それでも満額拠出でプラスかと思いますが、1500万の控除が使えないことで恩恵が得られにくい水準もあるのでは。

    • shotaro37 shotaro37 より:

      コメントありがとうございます。

      退職所得控除がない場合についても計算しました。
      所得税率10%の方はNISA>iDeCoになりましたが、それ以上の所得ならばiDeCo優位になりました。
      高収入かつ退職金が乏しい(?)我々の業界はメリット大きいですよね。

      これからも地域のために頑張ってください。応援しています。

  2. 疲弊した地方勤務医 より:

    30年の猶予がないので、20年で私も計算してみました。
    期間20年、年利3%、退職所得控除ゼロの場合でも、同様の結論のようでした。

    所得控除のメリットが物凄く大きいですね。

    iDeCoは出口の課税が鞭ではありますが、入口で飴を最初に貰えるので、正しく扱えば今のところはトータルで大きくプラスでしょうか。

    これといったデメリットの目立たないNISAの方が、取っ付き易いのは確かですが。

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