iDeCoの節税額をパターン別に計算 NISAよりお得!

はじめに iDeCoの存在感がどんどん薄く

新NISAが始まってから、ますますiDeCoの影が薄くなったように感じます。

多くの有名インフルエンサーが、iDeCoよりもNISAを推しています。

しかしNISAよりiDeCo派の私は、どうもこの流れに納得できません。

 

今回は実際にどれだけiDeCoとNISAで節税額の違いがあるか、iDeCoに不利なパターンを中心に計算してみました。

 

 

iDeCoの基本事項

iDeCoは国が用意している個人年金制度で、掛けられる上限は個人の属性によって異なります。

最も多いのは上限が23,000円の方でしょう。
私(企業方DCのない勤め人)も妻(専業主婦)もこの額が限度です。

 

掛け金が全額所得控除され、年末調整や確定申告で還付されます。

手数料として加入時に2,829円、拠出する月は毎月171円がかかり続けます。

 

また受け取りは原則60歳以上からで、一時金、年金、または両方組み合わせるという3パターンあります。

いずれの場合にも、振り込み一回あたり440円かかります。

 

退職所得控除がどれだけ使えるか、公的年金がいくらもらえるか、受け取り時の年齢によって税金は変わってきます。

これがiDeCoの出口戦略が難しいと言われる理由です。

 

 

節税効果を計算

受け取り前までの計算

23,000円の積み立てなら、所得税5%、住民税10%とすると年間41,400円、毎月3,450円の節税になります。

実際に積み立てられるのは23,000 – 171=22,829円。

節税額と合計すると22,829+3,450=26,279円。この金額が運用可能額です。

(節税できたお金はNISAで非課税運用できたと仮定します)

 

毎月23,000円を新NISAで運用する時と比較します。

株式投資の名目リターンを年率6%と仮定すると、

 

💰iDeCo:

毎月22,829円を30年運用すると22,932,074円になり、初期費用2,829円を30年運用すると16,248円になります。

22,932,074 – 16,248=22,915,826円

節税分の毎月3,450円を30年運用すると3,449,329円となり、合計の資産は

22,915,826+3,449,329=26,365,155円となります。

 

 

💰NISA:

毎月23,000円を30年運用すると23,103,846円

 

その差は3,277,557円で、iDeCoの方が多くなりました。

ここでiDeCoが勝つのは当たり前です。問題はこの後で、iDeCoは引き出し時に税金がかかります。

 

 

受け取り時の税金

ここでは単純に、

①会社の退職金がなく、一括受け取り
②会社の退職金が多額、一括受け取り

の2パターンを考えます。

 

①会社の退職金がなく、一括受け取り

まず①のケースですが、30年積み立てると退職所得控除が1500万円使えます。

 

 

1回の振り込みにつき440円取られるので、22,932,074 – 440=22,931,634円の受け取り。

課税所得は22,931,634 – 15,000,000=7,931,634円

課税所得はこの1/2なので、7,931,634 ÷ 2=3,965,817円

これにかかる納税額(所得税+住民税)は769,676円です。

 

というわけで、iDeCoとNISAの差は、

3,277,557 – 769,676=2,507,881円で、iDeCoの勝ちとなりました。

 

 

②会社の退職金が多額、一括受け取り

今度は会社からの退職金が1500万円以上あって、退職所得控除が一切使えない場合を考えます。

 

所得税率が5%で退職金が1500万円以上というのはバランスが悪く、この仮定はあまり現実的ではありません。

 

受け取り金額は①と同じで26,380,963円。

今度は課税所得に控除がないため、22,931,634 ÷ 2=11,465,817円

この金額の税額は 3,539,663円となります。

 

というわけで、iDeCoとNISAの差は、

3,277,557 – 3,539,663= -262,106円で、NISAの勝ちとなりました。

 

 

所得税率10%、20%なら

多くの方が当てはまりそうな所得税10%ならば、毎月の投資額は同様の計算で27,429円となります。

以下同じように計算すると、30年後に27,536,595円となり、受け取り時の税金は上と同じなので、

①退職所得控除が使えれば税額769,676円で、iDeCo が NISAより3,663,073円お得になります。
②退職所得控除が0ならば税額3,539,663円で、iDeCo が NISAより893,086円お得になります。

 

このレベルの所得ならば、退職所得控除がなくてもNISAより損をすることはなさそうです。

 

所得税率20%になると、

①でNISAより5,973,018円、②でNISAより3,203,031円お得になります。

 

 

一覧表

+はiDeCo有利、ーはNISA有利

 

 

公務員はiDeCoを見送るのも手 自営業も注意

給料が中央値を大きく超えていない、かつ退職金が十分期待できる、かつNISAを埋めきれない場合には、iDeCoはそこまでお得にならない可能性があります。

一番当てはまりそうなのは公務員ですかね。

 

ただし

💰退職金が多い方は収入が高く、iDeCoのメリットが大きい
💰収入が低い方は退職金が少ないため、iDeCoのメリットが大きい

ということで、多くの方は iDeCo が NISA に勝ります

 

 

また今回は利回りを6%としましたが、利回りが低ければよりiDeCoがお得になり、高くなればNISAの方がお得になります。

 

個人事業主の方が満額(毎月6.8万円)やると、30年6%だと6800万円になってしまうので、退職所得控除を使ってもさすがに税金が多額になってしまいます。

掛け金は2.5万円くらいまでに抑えるのが無難です。

 

 

iDeCoの魅力は節税だけじゃない

これまでiDeCoの節税効果を計算してきましたが、iDeCoのメリットは節税だけではありません。

iDeCoの掛け金は資産としてカウントされないというメリットがあります。

 

資産ではないということは、

💰離婚時の財産分与の対象外
💰自己破産などの資産差押さえの対象外
💰奨学金受け取りの資産項目の対象外

などが挙げられます。

 

さらに今後金融所得課税や、公的保険が資産によって分けられる未来は容易に想像できます。

こうなってから一気にiDeCoに逃すことはできませんから、今のうちから資産を逃がしておくことで対応できます。

 

 

まとめ

・iDeCoはNISAよりお得なはず
・計算すると多くの場合でiDeCoの勝ち
・公務員はやらなくていいかも
・自営業は掛け過ぎに注意
・利回り高くなるとNISA有利、低いとiDeCo有利
・iDeCoは差し押さえ、財産分与の対象外。意外なメリット

早いうちからiDeCoを始めていたり、相場が好調で資産が膨らんだ場合は、後半になって掛け金を減らせば税金も減っていきます。

計算して改めてiDeCoとNISAのお得度がよくわかりました。

ご参考になれば幸いです。

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