はじめに 1ドル160円台に
2024年4月29日、1ドルは34年ぶりの160円台をつけました。
直後に為替介入と思われるドル売りが入り、執筆時点(2024/05/14)では1ドル156円台となっています。
ドル円5年チャート
今は多くの日本人が経験したことがないほどの円安となっています。
海外の株や債券、外貨預金などをやっている方は、円ベースの利益が大きくなっていることでしょう。
さて今回は円安時代をどう切り抜けるか、資産をどう管理するかについて考えたいと思います。
労働資本が日本にある限り、資産はほぼ全部外貨で良い
外国で働いたり、報酬を外貨で受け取らない限り、ほとんどの日本人は日本円で収入を得ています。
これは給与所得はもちろん、年金も含みます。
一般的には、多くの方が資産(貯金)を日本円建てにしていると思います。
資産の半分以上を外国株や外国債券、外貨預金にしている人は滅多にいないでしょう。
(この記事に辿り着くような投資好きならば、米国株を中心としたリスク資産に多く投じているのが普通かもしれませんが)
資産も日本円、人的資本も日本円建てとなれば、円安にはやられ放題です。
人的資本を外貨建てにすることはほぼ無理だし、年金は絶対に日本円なので、コントロールできるのは現在持っている資産だけになります。
年齢や収入、資産にもよりますが、60歳以下で現在の資産が人的資本+年金よりも多い人はほぼいないでしょう。
(割引現在価値を用いても)
であれば、今ある資産を全て外貨に替えても、資産全体での日本円の割合は5割を下回ることはないと考えられます。
私は、資産の70%が米ドルなどの外貨建て資産になっています。
通貨分散の方法
米ドルのみ
外貨といえば米ドル。外国株も米国株のみ。
地政学的にもアメリカほど恵まれた国はそうないので、全然アリです。
オルカンを買う
新NISAでさらに人気が加速したオルカン(eMAXIS Slim全世界株式)ですが、国が分散されているということは、当然通貨も分散されています。
最新の月報によると、オルカンの米国(=米ドル)比率は61.7%、後は多い順に日本円、ユーロ、英ポンド、カナダドル、スイスフランと続きます。
eMAXIS Slim全世界株式の2024年4月月報より
債券を買う
株式はリスクが高い資産のため、一部は株式以外で通貨分散をするべきです。
その中で有力なのは、債券を買うという手段です。
米国債ならば生債券を買うという手もありますが、私のおすすめは世界国債ETF(2511)です。
一般投資信託ならば、2024年2月に出たばかりの「サクっと全世界債券」が低コストです。
FXを使う
私も行っている方法ですが、FXで通貨を保有するという手もあります。
FXというと、普通は高レバレッジで短期トレードというイメージですが、レバレッジをかけずに長期で持つことももちろんできます。
税金やコスト、通貨の種類の面で、MMFよりも優れています。
私は米ドルしか持っていないのですが、ユーロ、ポンド、豪ドル、スイスフランなど先進国通貨、またメキシコペソや南アランドなど新興国通貨も、低コストで買うことができます。
一例として米ドル50%、ユーロ30%、豪ドル10%、メキシコペソ10%など、自由に調整できます。
スワップポイントによって短期金利相当分が受け取れるので、日本の金利が上がらない限りはインフレヘッジもできます。
日本株も悪くない
資産が日本円、日本株だけという方もいるでしょう。
というよりほんの10年ほど前までは、普通の人にとって外国株はまだ縁遠い存在でした。
ところが日本株でも意外に為替対策になっています。
ほとんどの大企業は外国相手に商売しており、円安によって利益は押し上げられるからです。
例えばトヨタはドル円が1円円安になると、営業利益は500億円増えると報道されています。
もし期待リターンが同じなら(理論的には同じはず)、為替分のリスクがないため、円建てで見た時には日本株は海外株よりも低リスクだと考えることができます。
まとめ
・人的資本、年金を考えると資産は全部外貨で良い
・海外株、債券、FXなど通貨分散の方法もいろいろ
・日本株も円安で利益が押し上げられるのでアリ
円高になったら損だと思われるかもしれませんが、そうなれば給料や年金の価値が上がるので良し。
為替で儲けようではなく、日本円集中投資は避けようという気持ちが大事です。
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