インデックス長期投資に関する誤解と真実

はじめに インデックス投資を行う理由

今回は改めてインデックス長期投資について考えたいと思います。

コストの低下、投資商品の充実のおかげで、私のような一般の個人投資家でもインデックス投資が簡単に行えるようになっています。

またNISAやiDeCoの後押しもあって、若い時からインデックスを中心とした長期投資が普及しています。(つみたてNISAは20,30代がメイン)

 

そもそもですが、なぜインデックス長期投資を行うのでしょうか。

 

ニュアンスの違いはあれど、答えは「お金が増える (と思う) から」でしょう。

インデックス長期投資はそれに適した投資手法なのか、よく言われている意見に対して私の偏見をいくつか書いていきます。

 

よく耳にする意見

世界は成長する = 株価は右肩上がり

最も多く聞かれる意見として、「世界は成長を続けている、だから全世界株などに投資すれば成長と共に株価も上がる」という意見です。

世界経済は2010年代は概ね年間3%程度の成長率を維持してきました。

 

 

世界人口は2070年ごろからプラトーに達しますが、これからの40年で世界人口は25% (80億 → 100億) 増加する見通しです。

当然技術革新も進んでいくはずなので、現在大人の私たちが生きていく限り、確かにこれからも成長は続いていくでしょう。

 

コロナ以降に生まれた子供たちは、40代で世界人口頭打ちの世界を生きることになります。

 

とはいえ10 – 20年レベルでは、経済成長と株価が相関しないことも珍しくありません。

リーマンショック以降、現在まで米国株は新興国を大きくアウトパフォームしてきました。

逆に新興国は2007年の高値をいまだに回復できていません。

 

SPY(青) : S&P500 ETF VWO(赤) : 新興国ETF
VWOが設定された2005年以降

 

もちろん新興国とは投資環境が違いますから一概に比較できませんが、短期 (20年以下) では経済成長=株高とは限らないと考えるべきでしょう。

 

15年投資すれば負け知らず

世界的な名著「ウォール街のランダムウォーカー」には、米国株は15年以上投資すれば、どのタイミングでもプラスになったというデータが載っています。

 

あのリベ大でもこの事実は何度も紹介されており、長期投資の大きな根拠となっています。

 

しかしこれはインフレを考慮していません。

 

最近のインフレはよく40数年ぶりなんて言われますが、その時代 (1970年代) は世界がスタグフレーションに悩まされていました。

例えば1973年から82年までの10年間、アメリカは年平均8.7%のインフレでした。

アメリカのインフレ率 (1960年〜)

 

Just a moment...

 

10年でドルの価値が43%まで落ちたことになります。

S&P500はこの期間で +19%でした。

しかし年率8.7%のインフレを考慮すると、インフレ調整後のリターンは – 49%となり、実質的には10年で資産が半減してしまいました。

 

現在のインフレ状況によっては、これからの10年も同じような状況になるかもしれません。

私は長期ホールドが報われない期間があるかもしれないと思っているので、デュアルモメンタムをそのヘッジとして使っています。

 

ちなみに開始してから2年経ちますが、S&P500よりもしっかり悪い成績となっています😂

 

アクティブに運用しても結果はよくならない

アクティブファンドの大半 (8割以上) はインデックスファンドに長期で勝つことができない、とよく言われます。

金融庁のレポートにも同様のことが書いてあります。

金融庁プログレスレポート2022を解説
はじめに 金融庁が毎年レポートを公開 みなさん、資産運用業高度化プログレスレポート というのを聞いたことがありますか? もちろんないですよね?笑 金融庁が発表するレポートで、内容は主に投資信託について、コストの高さや運用...

 

私がインデックスを中心に分散投資をしているのはまさにこれが理由で、パッシブ運用をするしか方法がないと言った方が近いかもしれません。

個別株やデイトレなどで継続的に勝てる人もいるので、特に若いうちはこれらに挑戦する価値はあると思います。

私はその力がないと思い知ったのでもうやりませんが。

 

利益の源泉はリスクプレミアム

山崎元、水瀬ケンイチ両氏の「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」の中に私の好きな一節があります。

投資とはリスクプレミアムを集める行為である

リターンの源泉はリスクプレミアムである、という考えに基づくと、いろんなテーマがクリアに解決されます。

 

■米国が他の国より優れている
→米国でも他国でもリスクプレミアムは変わらない。他国に分散しない分だけリスクが高くなる
■日本などの低成長の国に投資するのは無駄
→低成長国でもリスクプレミアムは変わらない。他国に分散しない分だけリスクが高くなる

 

この理論に立つと、最良の投資法は自身のリスク範囲内でリスクプレミアムを受け取り続けること、となります。

つまり全世界株を一生保有し続けること。

 

インデックス投資以外の資産形成を

これまで見てきたように、インデックス投資はほとんどの人にとって最良の投資法だが、時代によっては悲劇的となりうるものです。

20年程度では報われないこともあるので、その可能性を受け入れるのか、何か対策をとるのかは考える必要がありそうです。

 

一人ひとり適した投資法は違いますが、不動産投資、現物投資、個人事業など、インデックス冬の時代に備える何かが必要だと思います。

私においては専門職を活かした稼ぐ力、投資においてはゴールドなどの分散投資、デュアルモメンタムがそれに当てはまるでしょうか。

資産運用の観点で言えば、REITやゴールドにそれぞれ5〜10%ずつ投資するのは理にかなっていると思います。

インデックス投資の先を考える方の参考になれば幸いです。

 

まとめ

・なぜインデックス投資を行うのか
・経済成長と株価は必ずしも一致しない
・「15年投資すれば負けない」はインフレを考慮しないまやかし
・リスクプレミアムの考えだと正解は常に全世界株長期投資となる
・株式以外にも分散がおすすめ

暴落は耐えれば回復するけど、インフレは耐えても報われないことがあります。

今は株価が高くも安くもないので、方針を変更するには良い時期です。

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