外国債券ETF 2511 を解説 ~債券投資の最適解~

目次

はじめに 債券ETFの続き

以前、債券ETFは何が良いかという記事を書きました。

 

債券投資は中長期債券にすべき! おすすめETF (国内, 米国) も紹介
  目次 はじめに 結論 今回検討する債券の種類:高格付けの長期債 海外ETFは往復で1.5%の手数料。小額なら国内ETFが良い 国内ETFなら2511がおすすめ 海外債券ETFについて AGG ≒ BND BND...


この中で国内で買える海外債券
ETFとして、外国債券ETF(為替ヘッジなし) 2511 を挙げました。

 

その後調べていくうちに、思ったよりも良いファンドだなと思ったので、今回は独立して紹介しようと思います。

 

ちなみに、こちらには為替ヘッジありの2512もありますが、通貨分散ができる、為替ヘッジをしない 2511 を今回は紹介します。

 

外国債券ETF 2511の概要

正式名称は

NEXT FUNDS 外国債券・FTSE世界国債インデックス(除く日本・為替ヘッジなし)連動型上場投信

略称 外国債券(為替ヘッジなし)ETF


という長い名前のファンドです。

 

nextfunds.jp

同様のETFに 1677 もありますが、こちらは毎月分配型で手数料がやや高いためおすすめしません。

 

債券を比較する上で大事なのが以下の5つです。

 

・投資対象

 国債、地方債、社債など

 

・格付け

 高いほど安定し、低いほど景気(株価)の影響を受けやすい

 

duration

 償還期間のこと。期間に比例して、金利の影響を受けやすい

 (金利が上がると価格が下がる)

 

・分配利回り

 

・保有コスト

・投資対象
 先進国中心の全世界国債
・格付け
 先進国国債なので極めて高い
・平均 duration
 7.8年。世界最大の債券ETFAGG(米国総合債券市場 ETF)6.35年で大差なし

 

・直近1年の分配金利回り
 2.82%  (2023年5月)
・保有コスト
税込0.132% + 隠れコスト
* 別に売買手数料で往復 0.06%

 

決算短信から経費を詳しく計算すると、

 

経費が 371 + 443 = 814 万円

1
年間の純資産平均は
(62.45 + 58.08) / 2 = 60.2億円
経費率は 0.0814/60.2 → 0.135 % /年

 

決算書を見ても隠れコストは高くないと考えられます。

 

 

2024/05/14 追記

同様の計算を2022年3月, 2023年3月期の決算でも行いました。

2022年は総経費 0.300 億円、純資産平均 206億円で、経費率 0.146 %/年となりました。

 

 

2023年3月期の計算をすると、
・期中の純資産 268億円
・経費 0.43億円

経費率 0.160 %/年

 

2024年3月期の計算をすると、
・期中の純資産 315億円
・経費 0.533億円

経費率 0.161 %/年

 

いずれの時期においても大きな隠れコストはないとわかりました。

 

2511の利点、欠点

利点1   米国ETFと比較して手数料が安い

米国株、ETFの売買手数料は、片道 0.495% (最大22ドル)、為替手数料片道 25銭 (住信SBIネット銀行からSBI証券だと片道36が一般的です。

 

1ドル130円とした場合の往復手数料を考える。

1回の買い付け額が

57万円程度まで
0.495 × 2 × 1.3 + 0.25 × 2 ÷ 1.3 = 1.672 %

・100万円の場合
0.22 × 2 × 1.3 + 0.25 × 2 ÷ 1.3 = 0.957 %

100万円で住信SBIネット銀行→SBI証券を使う場合の最安コスト
0.22 × 2 × 1.3 + 0.09 ÷ 1.3 = 0.641 %

 

と、金額や証券会社によって異なりますが、少額を普通に買い付ける場合は、約 1.7 % がかかります。

 

これをAGG (米国総合債券ETF) で取り返そうと思うと、15年くらい保有しないとコストの元が取れません。

(コストの差がだいたい0.1%/年のため)

多額 (100万円以上、あるいは住信SBIを利用した買い方をしない限り、なかなか海外ETFはおすすめできません。

 

2022年4月より、SBI証券・楽天証券での AGG 買い付け手数料が無料になりました。

この場合、コスト回収は 約 8 年となります。

 

利点2   通貨分散ができる

米ドル、ユーロともに 40 %強の割合で、ポンドや豪ドルなどが続きます。


一方米国
ETFの AGG は米ドル建てになるので、それよりも分散が図れます。

 

為替ヘッジを しない” 方が、為替リスクを抑えられると考えています。

(これ一本でドル、ユーロ、ポンドなどの分散投資ができるため)

 

欠点 呼値が大きい  → 改善あり(2021年11月)

呼値(よびね)とは、1株に対し注文できる最小の値幅(刻み値)のことです。


この
2511の呼値は 1円です。(2021年4月時点)

 

以前は呼値は株価によってのみ決まっていました。

 

今は一部の大型株に対しては、より細かい呼値が採用されています。

 

www.jpx.co.jp

 

呼値は細かい方が投資家にとっては有益です。

例えば、買い気配 50円、売り気配 51円の株があったとします。

この場合、どちらで約定するかによって、いきなり2%の評価額変動が起こります。

この2511も呼値が価格の0.1%あるので、やや高いなと感じます。

一方AGG114ドルで呼値が0.01ドルなので、遥かに取引しやすいといえます。

2021年12月1日追記

11月29日より、ETFの呼値が TOPIX100 採用銘柄と同じになり、より取引しやすくなりました。

 

楽天証券HPより

 

ほぼ同じ商品が eMAXIS Slimにあり

こちらです。

emaxis.jp

 


対象指数はいずれも
FTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジなし・円ベース)です。

 

2022年4月25日の運用報告書では、総経費率は 0.17%/年 でした。

上記の2511とは違い、報告書に直接記載されているので、より信頼性が高いと考えられます。

計算上は2511の方がわずかに安くなりましたが、計算方法の違いがあるため、どちらが良いとは言えない程度の微差です。

 

どちらを選ぶかは、配当金の扱いで決めると良いと思います。

 

2511… 投資家に分配
eMAXIS Slim… 自動再投資

 

あと債券ではほとんど違いはでませんが、すぐ売り買いできるのはETFである2511になります。

 

まとめ

2511は世界分散された、低コストな債券ETF
・より為替の分散がされているのが、AGGなどとの違い
・大口の買い付けでなければ、債券投資の最適解と言える
emaxis slim先進国債券もほぼ同じ商品。お好みで

 

米国超長期国債ETF (2621) もおすすめ債券ファンドです。

よりリスクを取りたい方はご検討を。

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