はじめに ほったらかし投資術の新刊が発売
皆さん「ほったらかし投資」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
元々は山崎元, 水瀬ケンイチさんの著書「ほったらかし投資術」のタイトルに出た言葉で、今では著書の枠をこえ一般用語となりつつあります。
さて2022年3月に当書籍の最新版である「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」が出版されました。
今回はこの本を紹介しながら、誤解されがちな点を挙げ、自分の投資法とも照らし合わせて考えてみたいと思います。
本の内容:全世界株式を買え 以上!
本書の内容は、取れるリスクの範囲で eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) を買え でおしまいです。
本のタイトルにすれば本文いらないほど短いです。
なぜそんなシンプルな内容が3冊も書かれているかというと、
・投資対象が充実してきた
・日本の税制度が変わった
・上昇、暴落を経ても結論は変わらない
などといった理由です。もう少し詳しく内容を見ていきます。
なぜ全世界なのか、米国株だけではいけないのか?
基本的に低成長の国であっても、イノベーティブな国であっても、期待リターンは変わらない。過去の成績がどれだけ良くても、未来の予想には全く役に立たない。
それならば国、銘柄を分散したほうがリスクが下げられる。
取れるリスクの範囲とは?
全世界株は、悪い時には1年で株価が3分の2になる。つまり失ってもよい金額の3倍まで投資することができる。
既に持っているお金がある時は一括投資?分割?
投資できる (すべき) お金を寝かせておくのは機会損失となる。一括で投資すべき。
特に興味深かった点
企業の成長、未来に投資するというのは筋違い
株式投資の利益の源泉はリスクプレミアムである。赤字企業でも米国IT企業でも、期待リターンは変わらない。斜陽産業も新興国も全部買って分散し、リスクを下げるべき。リスクが下がれば投資できる金額が大きくなり、リターンの増大に結びつく。
ドルコスト平均法の誤解を解く
長期投資において、ドルコスト平均法が優れた買い方であるかのように言われる。
しかしドルコスト平均法自体に有利も不利もない。むしろ機会損失の分だけ良くない買い方とも言える。
これはヤフコメでも誤解していることが多かったです。
また私も実際に計算したことがあるのですが、ドルコストはいい時もあれば悪い時もある、買い方の選択肢の一つに過ぎないと分かりました。
長期・分散・「低コスト 」
上で書いたように、投資タイミングをあえて分散することに特段のメリットはない。金融庁は長期・分散・積み立てを投資の謳い文句にしているが、それよりも低コストを意識する方がよっぽど大事である。
本書を読んだ感想
投資に対する距離感が難しい
全世界株を買ってずっと放置するというやり方、ほとんどの投資家は既に知っていて、それが良い投資であることも理解していると思います。しかし私を含め、多くの人がもっとアクティブに運用しているのではないでしょうか。
NASDAQに集中投資、個別株投資、頻繁な売り買いレバレッジなどなど
全世界株一本投資は、「投資を勉強して実践しているけど、全く興味がないかのように振る舞う」という、かなり洗練された精神状態でないとできません。いやぁ難しい。
ドルコスト平均法は実は悪くない
私もやったことがありますが、多額の一括投資は精神的にかなり難しいです。また積み立て投資をしている個人投資家の方がリターンが良いというデータもあります。理論と実践は異なるものです。
債券やコモディティも必要
本書では利回りの低い日本国債、為替リスクのある海外債券は勧めていません。円安に対するヘッジは全世界株投資でできているというスタンスです。
しかし私は先進国債券、コモディティ (特にゴールド) は分散投資の観点で非常に大事だと考えます。
実際に投資していても、株の下落をカバーする動きに心の動揺が抑えられることを実感します。「ほったらかし投資」に比べ、手間に見合う結果が得られるかというと微妙ではありますが。
結局このブログで十分
Hayato Ito さんが書かれた「普通の人が資産運用で 99 点をとる方法とその考え方」という記事があります。
https://hayatoito.github.io/2020/investing/
本書に書いてあることとは、項目ごとには違うかもしれませんが、本質は全く同じと考えられます。
なので本を買うのがもったいないと感じる方はこちらを読むだけでも十分だと思います。
詳しくはこちら
まとめ
・ほったらかし投資術の新刊を紹介
・全世界株式ファンドを買え、という内容。その根拠の一部を紹介した
・本を買いたくない人は Hayato Itoさんの記事を参考に
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