はじめに 前回のおさらい
1998年に発表されたTrinity Study、いわゆる4%ルールの根拠となった論文ですが、2024年時点でも十分通用することがわかりました。
今回は株式が米国ではなく全世界株だった場合、どのように変わるかを解説したいと思います。
前回と同じサイトを翻訳して解説します。
前回の記事↓

米国株と全世界株のリターン
もともと米国株の方がリターンが良い傾向にありました。
リーマンショック以降は特に顕著で、近年は米国株>>全世界株の状態です。
例えば1992年以降の32年間では、米国株が全世界株の2倍以上のリターンとなりました。
年率換算だとS&P500 10.3%、全世界株 7.9%です。
歴史的なリターンの差から米国株を選ぶ方と、分散の観点から全世界株を選ぶ方に大きく分かれます。

米国株を除いた外国株を買う人はほぼいないでしょう。
今までのFIREシミュレーションが米国株で行われてきたため、リターンで劣る全世界株を保有していても安全に引き出せるのか、疑問に思われるでしょう。
それを今回解説します。
シミュレーション前提条件
今回参考にした記事はこちらです。

そのほかの条件は以下の通り↓
(ただし米国除く全世界株は1970年以前のデータなし)
・リバランスは1年に1回
・引き出しは毎月
・米国のインフレが考慮される
・0.1%の保有コストを考慮する
・債券は米国債を使用
非米国株と米国債の組み合わせ
非米国株と米国債の比率ごとに、6段階に分けて調べてあります。
30年、40年、50年と順に掲載します。
株式比率が高い方が、成功率が高くなることがわかります。
特に株式比率が80%以上だと、引き出し率が3.5〜3.75%までは安全に50年間維持できます。
この傾向は米国株の時と同様ですが、特筆すべきは「非米国株の方が成功率が高い」という点です。
比較として米国株、50年のチャートがこちら↓
前回私は、「株式75%, 債券25%で、毎年3.5%の引き出し」が最適だと書きました。
これは引き出し率が3%後半になると、成功率が90%程度まで下がってしまうからです。
例えば3.8%の引き出し率を見てみると、
・米国株の方は92%程度(株式比率75%)
という違いがあります。
数字はグラフを目視したもので、正確ではありません。
非米国株の場合は、3.8%程度まで引き出し率を上げられる、という結果になりました。
米国株と非米国株の組み合わせ
今度は株式100%として、米国株と非米国株をそれぞれ何%ずつにするとどうなるかという調査です。
こちらも30年、40年、50年と順に掲載します。
どれも同じ傾向があります。それは
「米国株比率が上がるほど成功率が下がる」
という点です。
全世界株の米国比率は現在62%なので、これを見ると「全世界株に加えて、さらに非米国株を買い増す」のが正しい行動となります。
とはいえ現実的にそこまでする人はいないと思うので、やはり「全世界株一本が最適解」だと言えます。
2記事のまとめ
・3.5%の引き出し率なら50年でもほぼ安泰
・40年後は資産中央値が10倍以上に
・ワーストシナリオを考えると株式75%が最適解
・米国株よりも非米国株の方が成功率が高い
・コスト、手間を考えると株式は全世界株が最適
以上を踏まえて、私の結論はこれです。
株式比率75%は80%でも良い(むしろベター)のですが、使えないお金を考えると75%でもほぼフルベット状態だと思うので、現実的に。
引き出し率3.7%にしたのは、非米国株を混ぜると3.5%よりも強気にいけそうだから。
毎月の引き出し額が20万円ならば必要資産は6490万円、30万円なら9730万円です。
なお売却益や配当の課税は考慮されていません。
ですがNISAやiDeCoなどの非課税枠をフル活用すると、おそらく引き出し額にかかる税金は2〜3%以内で済むと思われます。
ぜひFIREシミュレーションの参考になさってください。
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