4%ルールアップデート② 全世界株でも成立するか

はじめに 前回のおさらい

 

1998年に発表されたTrinity Study、いわゆる4%ルールの根拠となった論文ですが、2024年時点でも十分通用することがわかりました。

今回は株式が米国ではなく全世界株だった場合、どのように変わるかを解説したいと思います。

前回と同じサイトを翻訳して解説します。

 

前回の記事↓

4%ルールアップデート① 2024年でも成立するか
はじめに 4%ルールについて 資産収入が生活費を上回る状態をFIREと言い、2020年ごろから特に話題になりました。 FIREに必要な資産額として、よく年間生活費の25倍と言われます。 これは資産を毎年4%ずつ...

 

 

米国株と全世界株のリターン

もともと米国株の方がリターンが良い傾向にありました。

リーマンショック以降は特に顕著で、近年は米国株>>全世界株の状態です。

例えば1992年以降の32年間では、米国株が全世界株の2倍以上のリターンとなりました。

 

年率換算だとS&P500 10.3%全世界株 7.9%です。

歴史的なリターンの差から米国株を選ぶ方と、分散の観点から全世界株を選ぶ方に大きく分かれます。

 

米国株を除いた外国株を買う人はほぼいないでしょう。

 

今までのFIREシミュレーションが米国株で行われてきたため、リターンで劣る全世界株を保有していても安全に引き出せるのか、疑問に思われるでしょう。

それを今回解説します。

 

 

シミュレーション前提条件

今回参考にした記事はこちらです。

 

Trinity Study With World Stocks In 2024 - The Poor Swiss
Trinity Study simulations are generally done with US stocks, but would they work with international stocks? We will find out!

 

 

そのほかの条件は以下の通り↓

・対象期間は1871年から2023年
(ただし米国除く全世界株は1970年以前のデータなし)
・リバランスは1年に1回
・引き出しは毎月
・米国のインフレが考慮される
・0.1%の保有コストを考慮する
・債券は米国債を使用

 

 

非米国株と米国債の組み合わせ

非米国株と米国債の比率ごとに、6段階に分けて調べてあります。

30年、40年、50年と順に掲載します。

 

 

株式比率が高い方が、成功率が高くなることがわかります。

特に株式比率が80%以上だと、引き出し率が3.5〜3.75%までは安全に50年間維持できます

 

この傾向は米国株の時と同様ですが、特筆すべきは「非米国株の方が成功率が高い」という点です。

比較として米国株、50年のチャートがこちら↓

 

前回私は、「株式75%, 債券25%で、毎年3.5%の引き出し」が最適だと書きました。

これは引き出し率が3%後半になると、成功率が90%程度まで下がってしまうからです。

 

例えば3.8%の引き出し率を見てみると、

・非米国株は96%程度(株式比率80%)
・米国株の方は92%程度(株式比率75%)

という違いがあります。

数字はグラフを目視したもので、正確ではありません。

 

非米国株の場合は、3.8%程度まで引き出し率を上げられる、という結果になりました。

 

 

米国株と非米国株の組み合わせ

今度は株式100%として、米国株と非米国株をそれぞれ何%ずつにするとどうなるかという調査です。

こちらも30年、40年、50年と順に掲載します。

 

どれも同じ傾向があります。それは

「米国株比率が上がるほど成功率が下がる」

という点です。

 

全世界株の米国比率は現在62%なので、これを見ると「全世界株に加えて、さらに非米国株を買い増す」のが正しい行動となります。

とはいえ現実的にそこまでする人はいないと思うので、やはり「全世界株一本が最適解」だと言えます。

 

 

2記事のまとめ

・株式は多いほど成功率が高い
・3.5%の引き出し率なら50年でもほぼ安泰
・40年後は資産中央値が10倍以上に
・ワーストシナリオを考えると株式75%が最適解
・米国株よりも非米国株の方が成功率が高い
・コスト、手間を考えると株式は全世界株が最適

 

以上を踏まえて、私の結論はこれです。

「全世界株式75%, 米国債券25%で、毎年3.7%の引き出し」

 

株式比率75%は80%でも良い(むしろベター)のですが、使えないお金を考えると75%でもほぼフルベット状態だと思うので、現実的に。

引き出し率3.7%にしたのは、非米国株を混ぜると3.5%よりも強気にいけそうだから。

 

毎月の引き出し額が20万円ならば必要資産は6490万円、30万円なら9730万円です。

 

なお売却益や配当の課税は考慮されていません。

ですがNISAやiDeCoなどの非課税枠をフル活用すると、おそらく引き出し額にかかる税金は2〜3%以内で済むと思われます。

ぜひFIREシミュレーションの参考になさってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました