NISAが拡大へ 新制度の解説、今後の投資戦略について

はじめに NISA拡充の全容が判明

NISA拡充のニュースが2022/12/12から各社で報じられています。

 

NISA制度拡大へ つみたてNISAは3倍の120万円、一般NISAは2倍で最終調整
投資の運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)について、政府与党は投資額、上限枠ともに拡大する方向で最終調整に入った。

 

最終的には2023年度税制改正大綱まで待たなくてはなりませんが、

・非課税期間は無期限に延長
・毎年の投資上限は360万円
・そのうちつみたてNISA対象銘柄以外は年間240万円まで
・投資総額は1800万円まで (一部報道では1500万)

という変更内容になりそうです。

 

IT mediaのHPより引用

 

 

上限額については複数報道あり

2022/12/21追記:
税制改正大綱発表により、生涯非課税枠は1800万円と決まりました。
その他については変更ありません。

 

非課税枠の大幅な拡大、期限の撤廃が実現となり、投資界隈では久々に明るいニュースとなっています。

 

従来の「新NISA」のおさらい

 

もともと現在のNISA制度は2023年で終了することが決まっていました。

2024年以降は

・ジュニアNISAの廃止
・一般NISAは原則的につみたてNISAと併用
・一般NISAでもレバレッジ投信などが購入不可に
・掛け金上限はほぼ変わらず

といった変更が予定され、制度は複雑になって投資家にはメリットなし、というなんとも評判の悪い制度でした。

謎の旧「新NISA」は生まれることなく消えていきそうです。めでたしめでたし。

 

ちなみに本家ISAはもっとすごい

大幅な拡充が (ほぼ) 決まったNISAですが、本家イギリスのISAは

・年間非課税2万ポンド (=338万円)
・預金や債券も非課税枠の対象
・Lifetime ISAには政府からの補助金あり
・非課税枠での売買 (スイッチング) が自由
・投資上限額なし
・もちろんジュニア制度あり

という充実っぷりです。

 

NISAがあと2回くらい大改革をやらないと追いつけないレベルの精度になっています。

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不明点

未成年の扱いは不明なまま

今回のニュースでは未成年の扱いが分かりません。

私は現在のジュニアNISAが継続されると思っていたのですが、このまま廃止されてしまうのでしょうか。

 

保有銘柄が上場廃止、償還されたら?

非課税期間が撤廃されたことで、スイッチングの重要性がより大きくなりました。

スイッチング…保有している銘柄を売り、新たな銘柄を買い直すこと

 

NISAでは売却した場合でも非課税枠の回復はありません。

短期売買を繰り返すのはNISAの趣旨から外れるので規制されるべきですが、一回買ったら一生持ち続けないといけない制度にも問題があります。

・加齢、結婚出産などでリスク許容度が変わった
・より魅力的 (低コスト) な新商品が登場した
・単純に投資戦略が変わった

など、スイッチングを必要とする状況はたくさんあります。

これは税制大綱で明らかになるのでしょうか。

 

2022/12/14追記:

日経新聞で記事になっていました。スイッチング可能のようです🙌

生涯枠は買い付け残高で管理する。途中で売却して枠に余裕ができれば、その分はまた投資できる。

NISA年間投資枠360万円に拡大了承 税制改正で自民税調幹部会合 - 日本経済新聞
自民党の税制調査会は13日午前に開いた幹部会合で少額投資非課税制度(NISA)の年間投資枠を360万円に広げるといった税制改正の内容を了承した。宮沢洋一税調会長は終了後、記者団に「つみたてNISA、一般NISAを抜本的に拡充する」と述べた。週内をめざす2023年度与党税制改正大綱のとりまとめに向けて作業を急ぐ。NISA...

 

戦略:最短で非課税枠を埋める

年間で360万円、生涯限度額が1800万円なので、最短で5年でNISA枠いっぱいの投資が可能です。

私は課税口座の売却もしながら、最短で枠を使い切ろうと考えています。

非課税投資期間をなるべく長く取ることが利益の最大化になるためです。

それでも家族全員の枠は使いきれないので、残りは積み立てていく予定。

 

高配当株投資がより楽しくなりそう

 

複利で資産を増やすためには、課税される配当は受け取らない方が有利です。

そのため配当再投資の投資信託が最適解となるわけです。

 

ところが今回の改正で枠が広がり、個別株を変える成長枠というのも1200万円まで持てることになります。

これまで一般NISAの投資可能期間は5年と短く、最初につみたてか一般を選ばなければなりませんでした。

そのためこのような戦略が取りにくい制度でした。

 

NISA成長枠で高配当株やETFを買うことによって、資産拡大期は一旦配当を受け取って再投資し、資産からの所得を使うフェーズになったら非課税の配当を受け取って生活することができます。

 

課税口座の商品は移し替えるべきか

2024年以降に買う分はNISA枠を使うとして、それまでに持っていた課税口座の株、投資信託はNISAに乗り換えるべきでしょうか。

実際には課税口座からNISA口座への移管はできないので、同日に課税口座の売り、NISAでの買いを行うことになります。

当然ながら利益が出るものはNISA枠を使った方が有利です。

 

一方で税の繰延効果 (売却益の税金を先延ばしにする) も侮れません。

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感覚的な話で恐縮ですが、10%程度の含み益なら売却してNISAへ、20%以上なら保有し、下落してきたらNISAへ乗り換え、という戦略が良いように思います。

NISAは課税口座と損益通算ができないので、場合によってはNISAにしたせいで税金が増えるという可能性もあります。

 

iDeCoの優位性は変わらない

所得税を納めている方なら、iDeCoは変わらず魅力的な制度です。

私はNISAよりもまずiDeCoをやるべきだと考えています。

NISA枠拡大がほぼ決定 iDeCoはどうするべき?
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一方で、我が家は専業主婦の妻もiDeCoに加入していますが、これは失敗でした。

我が家は家族のNISAを使い切れるだけの資産はないので、所得控除を受けられず、60歳まで引き出せず、受け取り時に課税されるiDeCoはNISAの完全下位互換となってしまうからです。

唯一のメリットとして、iDeCoはスイッチング (非課税内での売買) が可能です。

 

まとめ

・新NISAの概要が明らかに
・期限の撤廃、非課税枠が拡大
・未成年、スイッチングの可否など不明な点も
・高配当株投資がより行いやすくなりそう
・iDeCoはそれでもおすすめ

 

ポジティブな話題なので、書いてて楽しくなってきました。

これまで以上に長期投資が大正義になりそうです。個人的な投資戦略についても変える必要があるかもしれません。

制度が決定されたらまた考え直したいと思います。

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