目次
はじめに 債券にレバレッジをかけたらどうなったのか
人気のレバレッジファンド、その安全な使い方を探すシリーズを書いています。
2回目からはレバレッジファンドと長期米国債を、何%ずつ保有するのが最も投資効率に優れているかについて調べました。
S&P500 2倍レバ
NASDAQ100 2倍レバ
S&P500 3倍レバ
これら3つはいずれも同じ傾向となり、
・普通の人はレバ株30〜40% (シャープレシオが最大) に抑える
・とにかくリターンを狙いたい人は70%まで
となりました。
今回は債券レバレッジETFは投資対象となるのか、について調べます。
調査方法 債券、株式いずれもレバレッジをかける
いつも通りportfolio visualizerを使います。
対象ファンドは以下の通り
SPY… &P500 ETF
SSO… S&P500 2倍レバレッジETF
SPXL… S&P500 3倍レバレッジETF
TLT… 米超長期国債ETF
TMF… 米超長期国債 3倍レバレッジETF
これら株、債券を50%ずつ組み合わせてリターン、標準偏差、シャープレシオ、ソルティノレシオを調べました。
調査期間はTMFが設定された2010年以降としました。
ソルティノレシオは、下落リスクに対するリターンの比
結果
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年率リターン |
標準偏差 |
シャープレシオ |
ソルティノレシオ |
SPY+TLT |
11.50 % |
6.83 % |
1.56 |
3.09 |
SPY+TMF |
16.11 % |
18.66 % |
0.87 |
1.67 |
SSO+TLT |
17.56 % |
11.93 % |
1.38 |
2.44 |
SSO+TMF |
22.43 % |
18.68 % |
1.16 |
2.22 |
SPXL+TLT |
22.87% |
18.25 % |
1.20 |
2.00 |
SPXL+TMF |
28.09 % |
21.04 % |
1.27 |
2.34 |
考察
① 株のレバレッジを上げると債券のレバも上げた方が良い
|
年率リターン |
標準偏差 |
シャープレシオ |
ソルティノレシオ |
SPY+TLT |
11.50 % |
6.83 % |
1.56 |
3.09 |
SPY+TMF |
16.11 % |
18.66 % |
0.87 |
1.67 |
株にレバレッジをかけない表の上2つは、債券にレバレッジをかけることでシャープレシオが大きく下がりました。
2倍レバ (SSO) の場合も債券にレバレッジをかけるとシャープレシオは下がりましたが、1倍株式ほどではありませんでした。
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年率リターン |
標準偏差 |
シャープレシオ |
ソルティノレシオ |
SSO+TLT |
17.56 % |
11.93 % |
1.38 |
2.44 |
SSO+TMF |
22.43 % |
18.68 % |
1.16 |
2.22 |
最後に3倍レバ (SPXL) の場合は、債券にレバレッジをかけた方がリターン、シャープレシオともに改善しました。
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年率リターン |
標準偏差 |
シャープレシオ |
ソルティノレシオ |
SPXL+TLT |
22.87% |
18.25 % |
1.20 |
2.00 |
SPXL+TMF |
28.09 % |
21.04 % |
1.27 |
2.34 |
これらから言えることは、株と債券のレバレッジは等しくしたほうが投資効率が良いという事です。
② リターン最大は3倍+3倍、シャープレシオ最大は1倍+1倍
やはりというべきか、1倍+1倍の組み合わせがシャープレシオ最大になりました。
レバレッジをかけるとシャープレシオは低下しています。
2010年以降、株式債券ともに上昇していたことを考えると、今後長期的にレバレッジがシャープレシオで上回ることはないでしょう。
一方リターンはレバレッジをかけた分だけしっかり上回りました。
攻めた投資をしたい、リスク許容度が高い (若い) 一部の方は3倍+3倍はアリだと思います。
③ 株式、債券市場が好調だった12年間であることに注意
調査機関である2010年以降は、リーマンショックも終わりほぼ一本調子で株式市場は上昇してきました。
また現在歴史的な低金利 (=債券高価格) であり、債券投資も良い環境でした。
今後市場が低迷する時のことを考えると、多くの人は大きなレバレッジは控えるべきだと考えます。
結論 SPY+TLT、SSO+TLTがおすすめ
シャープレシオが高い投資をしているという事は、保有している安心感が高く、それは継続できる可能性も高いということになります。
恵まれたこの12年間においても1倍+1倍が最も優秀である、また昔からよく知られた投資法である、という点は特筆すべきだと思います。
しかしそれではちと物足りない、という方には、株式の方で2倍レバレッジをかけることをお勧めします。
20年くらい待てれば、ほぼ1倍を上回れるのではないかと考えます。
なので45歳くらいまでの方なら、2倍レバレッジはお勧めの一つになります。
まとめ
・債券にレバレッジをかけた場合を検討
・1倍+1倍がシャープレシオ最大になった
・株式2倍レバもお勧めの一つ
・めっちゃ攻めたいなら3倍+3倍もアリ
一通りの検証が終わりました。
債券へのレバレッジは株にレバレッジをかけるより良いかと思ったのですが、そうでもありませんでした。
債券2倍レバがあればまた結果は違ったかもしれません。
投資選択の一助になれば幸いです😇
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