目次
はじめに
モメンタム投資おじさんとして日々過ごしていく中で、モメンタム投資をする国内ファンドを見つけました。
その名をダイワDBモメンタム戦略ファンドと言います。
ご丁寧に為替ヘッジあり、なしを両方発売しています。
まずこちらのパンフレットを、HPから見てみましょう。
パンフレットの内容
第一印象 見やすい
自分で文章を書くようになって特に思うようになりました。
こういった投資信託も、薬の説明書もとても見やすく書いてあります。
大きな見出し→図を多く用いた説明で、1ページずつ完結させている。
勉強になります」(._.)
投資対象
米国株式、米長期国債 (おそらく10年物)、ゴールド、米ドル
米国株、ゴールドのデュアルモメンタムしているのとほぼ同じだと言えます。
ルックバック期間、保有期間
資産を9等分して、9ヶ月のルックバック期間で、9ヶ月保有するという方針のようです。
これについては後で述べます。
少し驚きだったのが、全資産をドルに変える事もあるという点でした。
私はファンドは預けられた資産を遊ばせることはできないと思ってたからです。
ひふみ投信はキャッシュポジションを多く取ることもあったと思いますが
この考え方は良いと思います。
もっとも、債券を持っておけばドルキャッシュにする意味はあまりないと思いますが
バックテスト
安定したパフォーマンスが得られていると書いてます。
リターン/リスク(=シャープレシオ) が高い投資が期待できるというのがモメンタム投資なので、ここでもそれを売りにしてます。
注意点
信託報酬が高い
購入時手数料 3.3%、運用管理費用1.9575 %/年!!
ぼったくりファンドと呼ぶにふさわしい高さです。
この時点で買う対象からは外れますが、モメンタムの中身はどうなのかも以下で検討します。
保有期間9ヶ月はおかしい
このファンドは保有期間を9ヶ月としていますが、もっと短くあるべきです。
ルックバック期間を3, 6, 9, 12ヶ月、保有期間を同様に3, 6, 9, 12ヶ月とした場合、どの組み合わせが最もリターンが高かったか、あるいは低かったかを24ヵ国で調べた論文があります。
これを見ると、24ヵ国中15ヵ国で、最短の3ヶ月保有が最もリターンが高くなりました。
逆に半数の12ヵ国で、保有期間が最長の12ヶ月で最もリターン低くなりました。
と言うのがモメンタム投資の常識と言ってもよく、このファンドでなぜ9ヶ月保有にしているかがわかりません。
Ron Bird et al. Time-series and cross-sectional momentum strategies under alternative implementation strategies
https://www.uts.edu.au/sites/default/files/FDG_Seminar_150408.pdf
このファンドは謎に9という数字にこだわっているので、それで決めただけなのではないかと感じます。
ルックバック9ヶ月は妥当なのか
私自身は3, 6ヶ月の複合期間を使っています。
詳しくはモメンタム投資シリーズ7とモメンタム投資シリーズ8をご覧ください
ただし歴史的には6-12ヶ月で機能するとされており、その意味ではこのファンドの9ヶ月は何らおかしいものではありません。
例えば米国株、非米国全世界小型株、米長期国債でのデュアルモメンタムを9ヶ月で行うと (保有期間は1ヶ月)、以下のようになります。
portofolio visualizerから引用
しっかり9ヶ月で良い結果が出ています。
ただしリーマンショック後からは、
と、10年以上S&P500にアンダーパフォームが続いています。
私はこれを元にしてより短い期間で評価するようにしましたが、over fittingに陥っているかもしれません。
over fitting:
シミュレーション結果を良くするため、パラメータなどを変えてしまうこと。結果的に実際のパフォーマンスは落ちてしまうことがある。mining effectとも言われる
まだ運用が始まって3年余りなので、ここはまだ評価するには早いかなと思います。
運用額が減っている
このファンドが始まった2018年以降で最も大きな出来事といえば、コロナショックとその後の急回復でしょう。
このファンドの値動きを見ると、コロナショックで株価は30%以上値下がりした中で、同期間で5-6%程度の値下がりですんでいます。
しかし去年の8月以降、株価上昇に全くついて行けず、パフォーマンスは低空飛行を続けています。
当然かもしれませんが、純資産額も減り続け、ピークの1/3、3億円にも満たない額となっています。
正直こんなぼったくりファンドは一刻も早く逃げるのが正解だと思いますが、過去のパフォーマンスが良かったファンドに乗り換えても、未来の結果にはつながらないことは常に頭に入れておかなくてはいけません。
米国のモメンタムETFについて
ちなみに投資王国アメリカには、米国モメンタム・ファクターETF (MTUM) というものがあります。
こちらは相対モメンタムを使ったファンドになるのですが、インデックスを長期で一貫して上回っています。
相対モメンタムについてはこちら
経費率は0.15%/年と、文字通り桁違いの安さです。
しかしSBI証券、楽天証券で取り扱いがないため、私は買っていません。
まとめ
・モメンタム投資をするアクティブファンドを見つけた
・ルックバック期間、保有アセットは良い
・保有期間がおかしい
・そもそも手数料高すぎ
・アメリカには良いモメンタムETFあるが、国内大手証券会社で取扱なし
投資対象の安易な乗り換えには注意しましょう😎
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