前回までのモメンタム投資シリーズまとめ
・インデックス長期投資には暴落がつきもの
・それを解決するモメンタム投資がある
・モメンタムは少なくとも80年以上一貫して確認できる
・それは人間が持つバイアスによって支持されている
・絶対モメンタムについて…
ある期間(12ヶ月前など)と比較して、上がっていれば買い、下がっていれば売るという線略
・株、債券、金、REITなど多くのアセットで成り立つ
・相対モメンタムについて…
複数の銘柄(米国株、非米国全世界株など)を候補として、ある期間(12ヶ月前など)と比較して、上昇率の高いものを買い持つという戦略
今回はモメンタム投資の真髄、デュアルモメンタムについてです。
これはこれまでお伝えした絶対・相対モメンタムの組み合わせです。
一例として、代表的なS&P500、非米国株、短期米国債の組み合わせを考えてみます。
期間(ルックバック期間という)は12ヶ月で、これは歴史的に最も広く使われている期間です。
具体的なETFを挙げれば、
非米国株… VXUS
短期米国債… SHVなど
となります。これを実践するとバックテストでは以下のようになります。
1… 総リターンが高い
2…標準偏差(リスク、ボラティリティ)=値動きの幅が低い
3…ドローダウン(最大下落率)が著明に改善
4…結果としてシャープレシオ(=リターン/リスク。高いほど良い)が改善
※採用している指数の関係で1998年からのデータになります。
米国株や全世界株のインデックス長期投資よりも、モメンタム投資ならリスクを抑えてより高いリターンを得られる。
これが私が最もお伝えしたい点です。
難しい理論や知識、経験は必要ありません。
またモメンタムはさまざまな資産(asset)に適用する事ができます。
一つ例を挙げると、金(Gold)、米国長期債を用いたデュアルモメンタムが以下になります。
Goldを保有していた場合と比べて、高リターン、低ドローダウンの成績となりました。
ご自分で計算したい方はこちらにアクセスしてみて下さい。
このように複数のモメンタム投資を組み合わせることによって、さらに安定したパフォーマンスが得られるとAntonacci氏は指摘しています。
それではこのモメンタム投資に欠点はないのでしょうか。
もちろんあります。
次回はモメンタム投資の弱点について解説します。
コメント
始めまして、よろしくお願いします。
原本では、
① SP500>全世界 yesならSP500>債券 yesならSP500をホールド
② SP500>全世界 noなら全世界>債券 noなら債券をホールド
③ ③SP500>全世界 noなら全世界>債券 yesなら全世界をホールド
とありますがこのページの説明はまず絶対モメンタムをSP500でみてマイナスならすかさず債券をホールドとあります。少し考え方が違うのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
おっしゃる通りで、「ウォール街のモメンタムウォーカー」では米国株がマイナスでも非米国株を買いうるとしています。
一方engineered portfolioのサイトではS&P500がマイナスなら債券保有としています。
後者の人が、より米国株を重視しているのだろうと思います。
私の経験ではまだ米国0以下、非米国0以上になったことはありません。
私はengineered portfolioをほぼ丸パクリしているので、そうなった場合は債券を買う予定です。
しかし米国、非米国を同列に扱う方が自然に思えますし、どちらを選んでもリターンの差はほとんどないように思います。
ありがとうございます。自分もADM4月から始めようと思い勉強させてもらいました。